「ヨレヨレ人生漫談」林家ペー著/小学館新書(選者:中川淳一郎)

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火事騒動の顛末から必殺芸誕生秘話まで網羅

「ヨレヨレ人生漫談」林家ペー著/小学館新書

 佐藤嘉彦の人生を本人が語った一冊。佐藤は林家三平の付き人になったことから芸能の仕事に関わり、一門の妹分である女性と結婚、芸能界屈指の仲良し夫婦として知られるようになる。佐藤嘉彦とはギター漫談師・林家ペーの本名だ。

 2025年9月の自宅マンション火災で注目を浴びた林家ペー・パー子夫妻。年齢非公表を貫いていたのだが、図らずもこの時にペーが83歳でパー子が77歳であることが報じられ「そんなに年齢行ってたの?」と驚かれた。

 火災保険に入っていなかったこともあり、マンションの共有スペースの修繕費等を捻出するのに苦労した。それでも、従来からの人望もあり、林家たい平主催でチャリティー大演芸大会を2回開いてもらうなどしてお金を工面した。

 本書はペーの人生を「聞き書き」の形で雑誌「女性セブン」の名物ライターで「オバ記者」こと野原広子さんがつづったもの。野原さんはひょんなことから40代の時に2人のマネジャーとなり、今回の火事の際はペーの元に駆け付け、近隣住民への謝罪やら、スマホの使用方法のレクチャー、固定電話の解約、演芸大会無事成功までの調整など、八面六臂の活躍を見せた。

 本書では、ペーが出会った人々や出演番組を振り返りつつ、現在の「ピンクの服」「パー子のけたたましい笑い」「いつも撮影をしている」「有名人の誕生日に詳しい」といった芸風をいかに獲得したかが書かれている。

 パー子のけたたましいキャハハハという笑い声のきっかけは、小堺一機がMCを務めていた「ライオンのごきげんよう」。ペーが何かを言ったときに「キャハハハ。お兄ちゃん、やだぁ。キャハハハ」とすっとんきょうな声をあげたのがきっかけ。難聴気味のパー子は、ペーの発言内容が分からなかったが、聞き返すこともできないため笑ってゴマカしたらそれが観客に大ウケ! 以来、パー子の持ちネタとなった。ペーのダジャレがウケなくても、パー子が笑いさえすれば、観客も笑ってくれる必殺芸となったのだ。

 ピンクの服については、「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」がきっかけ。総合演出のテリー伊藤の楽屋へ挨拶に行った時のくだりだ。

〈「ペーちゃん、テレビタレントはビジュアルが大事だよ。そんな地味な服を着ていたらタレントに見えないよ。スタッフと変わんないじゃない。もっとパーッとした色--そうだ! 今パー子さんが着ているのと合わせてピンクにしたら」って。ほんと、その数秒の話で僕らの運命が決まっちゃったんだから面白いよね〉

 火事という大変な災難にあっても、こうして本を出せるまでに復活したのは喜ばしい。それも普段の人徳あっての話である。 ★★★


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