最新セックス本特集

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 セックスを楽しめない人が増えている。老化で体が言うことを聞かない、忙しくて心と時間に余裕がない、相手がいない、性欲がわかない、それほど気持ちよくない……人それぞれに理由があるだろう。そんな自分に危機感を抱く人に、思い込みや刷り込みを払拭してくれる4冊を紹介しよう。

 出演作品は1万本を超え、経験人数はのべ8000人。AV男優・森林原人のスペックは、数値だけキャッチーに並べると、とてつもない男だ。そんな彼が書き上げたのが「『人生最高のセックス』でもっと気持ちよくなる」(KADOKAWA 1300円+税)である。

 ただし、「経験豊富な俺に学べ!」という男性向けの陳腐なセックスハウツー本では決してない。ましてや、男を落とすフェラチオテクニックを伝授するような、1億総風俗嬢化を促す女性向け指南本でもない。

 セックスで人生をこじらせている女性たちのケーススタディーに基づき、そっと寄り添いながらも、的確なアドバイスを繰り広げていく。前書きの段階で、セックスに唯一の正解は存在しないし、自分も全貌はわからないと素直に吐露する著者。頭ごなしに叱るでもなく、下手に回って女性を褒めちぎるでもない。淡々と現状を受け止め、心のよろいを外すきっかけを与えてくれる、そんな指南書に仕上がっている。

 相手がいないと嘆く女性には、セックスしないことを正当化したり、セックスに興味のないフリをしていないか、シビアな自問自答を促す。アソコが緩いと心配する女性には、男優ならではの経験値から、男性器が女性器に「馴染む」という現象を説明して、不安を取り除いてくれる。

 また、愛とセックスを強く結びつけたがる人には、その弊害に警鐘を鳴らす。セックスの失敗が人格の全否定につながってしまう怖さがあると説いていくのだ。 

 さらにもう少し踏み込んで、セックスレスにはパートナーを代える提案もし、浮気を許せない人には嫉妬と愛情の違いを解説していく。全体を通して、女性の悩みに優しく根気強く回答しているように見えるのだが、実は男性の内なる逡巡にも寄り添っている、ともとれる。

 AV業界に長く身を置く著者だからこそ、セックスファンタジーの虚実皮膜を知っているからだ。

 たとえば、男は主導権を握り、快楽に声を上げてはいけないと思い込んでいる。AVでは視聴者に男優の存在を意識させず、女優を目立たせるために、リアクションを控えるそうだ。ただし、実際のセックスではもっと男が声を上げたり、快楽に反応してもいいという。AVの世界と現実のセックスは別だと強調するのだ。男も女もAVに影響されすぎていたと気づかされる。

 では、気持ちいいセックスのためには何が必要なのか。それは、趣味嗜好や主導権、こうあるべきと決めつけないこと。そしてどれだけ無邪気になれるか、バカになれるか。

 頭で考えるより感じろ、という。「その程度ならすぐできる!」と思った人は、そのうち人生最高のセックスを体験できるだろう。「そんなの無理!」と頭で考えてしまった賢い紳士淑女は、道のりがやや険しいかもしれない。

「日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない」湯山玲子、二村ヒトシ著

 歯に衣着せぬ論評の著述家とアダルトビデオ業界を知り尽くした監督が、今の日本に蔓延するセックスの絶望について語り合う。単に性欲がなくなったのではなく、性における男の暴力性に萎える女たち、女の承認欲求に萎える男たちが増えたのではと指摘。軽蔑と支配で欲情する男に、バカを擬態する女。侮辱と自虐ではセックスを楽しめないとも。まさに慧眼である。自らの経験と自省も込めて男の沽券のもろさを語る二村氏に、女が抱く違和感をちゅうちょなく突きつける湯山氏。対談を目前で聞くような臨場感もさることながら、今の空気感に対する両者の鋭い考察が胸をえぐる。

 少子化や晩婚化を表面的に憂うだけでは何も始まらないことを教えてくれる問題作だ。(幻冬舎 1500円+税)

「OVER60 60歳からはじめる愛と青春」アダム徳永著

「スローセックス」を提唱し、セックスライフに悩む男女の救世主となった著者が、60歳以上に向けて説いた指南書。ベッドの上のテクニックではなく、熟年ならではの凝り固まった意識を変えるヒントを伝授。性愛に目覚めるための自己啓発といったところか。

 日本人の多くが「振り返り癖」を持ち、過去に固執しているという。過去に生きる人は無意識のうちに、不満や怒りを抱え込み、喜びや幸せから遠ざかる。肩書のない自分を受けとめ、自分が何者であるかを知ることから始めようと説いている。

 実践テクニックは過去の自著を勧めるという展開ではあるが、定年を迎えて空虚感を味わう人には、新たな気づきを与えてくれるかも。(講談社 1200円+税)

「催眠セックスの技術」林貞年著

 セックスで悩む人は、基本的に根が真面目な人である。いいかげんで適当な人はおそらく一生悩むことはない。前者に向けて、救いの手となるかもしれないのが本書。

 体を愛撫する方法ではなく、脳をいかに感じさせるかのハウツーが紹介されている。女性の局部を敏感にする「感覚支配」、相手を淫乱にする「人格変換」、女性を盛りのついたメスに変える「メンタル・リハーサル」など、一瞬目を疑うメソッドだが、催眠セックスの大前提として「信頼関係の下で成り立つ」と明言している。つまり、信じ合う最愛のパートナーであれば、催眠セックスによるとてつもないオーガズムを体感できるとのこと。まずは信じるところから始めねば。(現代書林 1400円+税)

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