松竹解任騒動 奥山和由を奮い立たせた深作欣二からの手紙

公開日: 更新日:

 申し訳ありませんが、噴き出してしまいました。それでまた、やる気になり監督のところにも企画を持ち込みました。「よし、やろうやろう」って言ってくれるのですが、その体はがんにむしばまれていたんですね、「もう長編をつくる体力はない。20~30分の短編、それも国内なら」とおっしゃいました。それで企画した、篠田正浩、大島渚監督との3人でのオムニバス作品。監督は「組長の首」というタイトルでもう一度撮りたい、と。残念ながら日の目は見ず、「約束、守れないかもしれない」という言葉を残して亡くなられました。

 解任騒動の時に下さった手紙にある実盛とは、源氏から平氏へと鞍替えした平安末期の武将です。老兵となり、源氏と戦うことになった時、白髪を黒く染め若武者のようないでたちで討ち死にしたという有名な話を後に知りました。今また京都に立ち、空を見上げると、映画に生き、最期まで力を振り絞った監督を思い出します。

 映画とは白いスモークの向こう、あるいは曇りガラス越しに垣間見える女――。何度も裏切られ、もはや愛しているのかも分からないけれど、「いつかギラギラする日」で深作監督とご一緒した時は、確かにこの手に女の存在を感じることができた。深作欣二賞をつくって、アウトローのDNAを継承していきたい。

 自分自身、もう一度、危なく魅力的な女に手を出したい。しっかりモノにして、天国の監督に見てもらうのです。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  2. 2

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  3. 3

    マツコが股関節亜脱臼でレギュラー番組欠席…原因はやはりインドアでの“自堕落”な「動かない」生活か

  4. 4

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  5. 5

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  1. 6

    5億円豪邸も…岡田准一は“マスオさん状態”になる可能性

  2. 7

    小泉進次郎氏8.15“朝イチ靖国参拝”は完全裏目…保守すり寄りパフォーマンスへの落胆と今後の懸念

  3. 8

    渡邊渚“初グラビア写真集”で「ひしゃげたバスト」大胆披露…評論家も思わず凝視

  4. 9

    「石破おろし」攻防いよいよ本格化…19日に自民選管初会合→総裁選前倒し検討開始も、国民不在は変わらず

  5. 10

    大の里&豊昇龍は“金星の使者”…両横綱の体たらくで出費かさみ相撲協会は戦々恐々