2026年秋に高齢者向けの新たなインフルエンザワクチンが登場
インフルエンザワクチンは、流行前に免疫を確保するため10~11月ごろに接種するのが理想的とされています。今回はインフルエンザワクチンの話題です。
高用量インフルエンザHAワクチン「エフルエルダ筋注」(以下エフルエルダ)が、来年の秋から60歳以上の高齢者を対象に使用可能となる見込みです。本来、今年の秋の発売予定だったのですが、来年に延期となったようです。
このワクチンは、抗原量を従来の4倍に強化した高齢者のためのワクチンです。高齢になると「免疫老化」と呼ばれる現象が進み、標準ワクチンでは抗体が十分に作れないケースが少なくありません。しかしエフルエルダは、国内Ⅲ相試験では標準ワクチン比で抗体価2.3~3.1倍向上と確認されています。さらに海外試験では、インフルエンザ発症リスクの24%低下、入院や肺炎・心肺イベントの発生率も抑えられたとの結果が報告されているのです。
エフルエルダは、60歳以上の方に1回0.7ミリリットルを腕の筋肉内に注射して使用します。以前、新型コロナワクチンを取り上げた際にも少し触れましたが、ワクチン投与の世界標準は皮下注射ではなく筋肉注射です。筋肉注射のほうが接種部位の副反応が少なく、ワクチンの効果が高いためです。