「クリエイティブ・ブックデザイン ユニークな印刷・加工・製本アイデアコレクション」センドポインツ・パブリッシング編 和田侑子訳 小林功二監修

公開日: 更新日:

「クリエイティブ・ブックデザイン ユニークな印刷・加工・製本アイデアコレクション」センドポインツ・パブリッシング編 和田侑子訳 小林功二監修

 デジタルメディアの台頭によって、本も電子書籍で読むのが当たり前になり、書籍はその存続さえ危ぶまれている。

 アルゼンチンの作家、ホルヘ・ルイス・ボルヘスが「本の最も重要な特徴は、それが物理的な物体であるということだ」と述べているように、書籍の物質性は「印刷された本と読者とのあいだに魔法のような相互関係を生みだす」。その魔法をもたらすのに一役も二役も買っているのがブックデザインだ。

 本書は、ブックデザインの最新事例を紹介するビジュアルブック。

 ページを開くと、私たちが本というものに抱いていたイメージがどれほど貧弱なものであったかと思い知らされる。

 例えばRobbin Ami Silverbergさんがデザインした「Duster2(ダスター2)」と題された本は、日本人にお馴染みの「はたき」そのもの。

 京都で細切れになった版画本のページでできたはたきを見てインスピレーションを得たデザイナーが、42部製作した本で、木の棒に巻きつけられた細い紙の一片一片に文字が印刷され、それがページとなっているのだ。

 CHAN HIUさんがデザインした「Made in Hong Kong vol.2-The Knock-off Rebound」は、香港のおもちゃの発展のタイムラインを表した本で、本自体が古典的な「ばね状玩具」になっている。

 ほかにも、単語カードがリング状に連なったような形態で時間を視覚化した本やロール状のビニール袋のような写真集など。

 さまざまな斬新なデザインの本を取り上げるとともに、デザイナーへのインタビューや、印刷・加工・製本の基本知識の解説まで網羅。一読すれば、本の未来に無限の可能性を感じることだろう。 (グラフィック社 4950円)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • BOOKSのアクセスランキング

  1. 1

    「最後の幕臣 小栗忠順 挫けども、折れず」増田晶文氏 非業の運命をたどった“ラスト・サムライ”の生涯を描いた1冊

  2. 2

    タイムトラベル専門書店 utouto(板橋・志村坂上)古い門をくぐった先に現れる築110年の蔵を改装した店舗

  3. 3

    「人手不足」なのに仕事探しに四苦八苦「年金だけじゃ生活できない!『定年バイト』奮戦記」林山翔平著

  4. 4

    「芝浦屠場千夜一夜」山脇史子氏

  5. 5

    「新しい戦中」に突き進んでいかないためにはどうしたらいいのか──「一寸先は闇」五木寛之、佐藤優著

  1. 6

    茨木のり子にいわさきちひろ…それぞれの生き方を貫いた女性たちが建てた家「女性が建てた家と間取り」田中厚子、松下希和著

  2. 7

    失敗にめげずニコニコの精神が成長の原動力に「発達障害の私だからこそ、成功できた」似鳥昭雄著/祥伝社(選者:稲垣えみ子)

  3. 8

    連載12352回 座右の書は新聞コラム <5>

  4. 9

    竹内薫(サイエンス作家)鈴木光司さん、またいつか宇宙と時空の神秘を語り合おう

  5. 10

    状況が変わってきた自転車をめぐる混乱を研究者が解説「『自転車』はどこに向かうのか」疋田智著

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人・橋上秀樹監督代行とは何者か…原辰徳氏には干され、阿部監督が心酔した“野村ID野球”の継承者

  2. 2

    (3)巨人の次期監督は誰か…松井秀喜氏、桑田真澄氏より“現実味”帯びる原辰徳氏の4度目登板

  3. 3

    (1)阿部監督の暴行事件は巨人にとって“渡りに船”だったか…異様に早い「解任判断」の裏側

  4. 4

    ゾンビたばこ羽月隆太郎「共犯者暴露」の大きすぎる波紋…広島・新井監督の進退問題にまで飛び火か

  5. 5

    (2)阿部監督「長女の手紙」で潮目一変…巨人が“事件矮小化”を手引きしたのか

  1. 6

    高市首相「中傷動画」疑惑に逆ギレ答弁連発 質問した野党議員の制止振り切り“ご飯論法”で一気まくしたて

  2. 7

    絶好調!巨人・阿部慎之助を支える最強あげまんグラドル小泉麻耶

  3. 8

    ゾンビたばこ羽月隆太郎が涙の激白 広島内で「関与は6人」「壮絶イジメ」「裏切り」【会見全文】

  4. 9

    維新はシャカリキでも産業界は「ノーモア都構想」…企業がごっそり“脱・大阪”前年度比1.8倍増

  5. 10

    広島羽月 お立ち台で見せた初々しい“坊主頭”の意外な理由