見世物オペラ劇「身毒丸」 37年ぶりにオリジナル版が復活

公開日: 更新日:

 今年は詩人、歌人、劇作家、演出家、映画監督、競馬評論家とマルチに活躍した天才・寺山修司生誕80年。さまざまな記念イベントが展開されるが、第1弾は「演劇実験室◎万有引力」による舞台「身毒丸」。

 これは78年に紀伊国屋ホールで、寺山の主宰する「天井桟敷」によって上演されたもので、寺山の死後は、蜷川幸雄演出で再演を繰り返し、寺山作品の商業演劇化ではもっとも成功した舞台といえる。藤原竜也はこの舞台でデビューしている。

 しかし、蜷川版は劇作家・岸田理生が新たに脚色したもので、オリジナル版とは別もの。長年、ファンの間では天井桟敷版「身毒丸」の上演を待ち望む声は大きかった。実現が難しかったのは、オリジナル版は「説教節の主題による見世物オペラ」と題されたロックオペラであり、大がかりな演奏陣が必要だったからだ。

 今回、初演で寺山と共同演出したJ・A・シーザーが総指揮。ロックバンドのほか、管弦楽、箏(そう)、琵琶などの和楽器、コーラス隊など19人の音楽陣と俳優30人が集結、初演にも匹敵する陣容となった。中世説経節を題材に、母子信仰と「家」の問題を描く、毒々しく華麗な「見世物オペラ」。

「節目の年にこれが本来の身毒丸だという舞台が実現できたことはうれしい。蜷川版と見比べてほしいね」とJ・A・シーザー。

 世田谷パブリックシアターで今月29日~2月1日上演。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  3. 3

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  4. 4

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  5. 5

    坂口健太郎に永野芽郁との「過去の交際」発覚…“好感度俳優”イメージダウン避けられず

  1. 6

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  2. 7

    板野友美からますます遠ざかる“野球選手の良妻”イメージ…豪華自宅とセレブ妻ぶり猛烈アピール

  3. 8

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景