阿部サダヲ本領発揮…骨太ドラマ「経世済民の男」は見応えあり
【連載コラム 桧山珠美の「あれもこれも言わせて」】
5日放送のNHK放送90年ドラマ「経世済民の男 小林一三~夢とそろばん~(前編)」。主演は阿部サダヲ。小林と阿部とは、イメージが違い過ぎるのではと危惧したが、ストーリーがことのほか面白く、そんな些末なことなど気にもならなかった。
小林といえば、阪急電車をつくり、ターミナル駅にはデパート、終点に観光施設(宝塚歌劇)をつくるなど、鉄道会社のビジネスモデルをつくった人として知られる。ドラマではそういう仕事部分のほか、プライベートも描かれており、仕事がうまくいかないと妻に八つ当たりするなど、意外なダメ男っぷりに親しみを持てた。阿部の本領発揮。こういうところが実にうまい。果たして、後編の成功者としての小林を阿部がどう演じるか見モノだ。
また、妻・コウ役の瀧本美織、銀行員時代の上司・岩下清周役の奥田瑛二などキャスティングもいい。12日放送の後編はいよいよ宝塚歌劇団の設立エピソードもあるようで、なんとも楽しみ。
ところで、この「経世済民の男」は3部作になっていて、その第1弾はオダギリジョー主演「高橋是清」、今回の「小林一三」が第2弾、第3弾が「松永安左エ門」となっている。