新藤風監督が追いかける 映画に心血注いだ祖父・兼人の姿

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 私が祖父の家に引っ越して介護をするようになったのは29歳の時。亡くなったのが12年5月ですから足かけ7年、身の回りの一切を見て納骨を終えた時点で36歳。この間、本来なら仕事で結果を出し、恋愛があり、結婚や出産もあったかもしれません。

 でも、すべてを祖父に注ぎ込んでプライベートはまったくの空白。祖父の死後、足跡を残す事業も行っていましたが、喪失感も大きくて、復帰を強く思うようになったのは亡くなって1年余りが過ぎてからです。

 そんな時に出合ったのが「島々清しゃ」の脚本でした。「いつまでも逃げていたら、望みはかなえられないよ」という趣旨のセリフは私自身が言われてるみたいで胸に突き刺さりました。また、孫から祖父まで3代にわたる家族が登場しますが、それが新藤家3代に通じるものを感じ、監督をやらせてもらうことになりました。

■電池が切れて動かない時計がお守り

 撮影中、いつもそばには祖父の腕時計がありました。この時計は、「石内――」のキャストやスタッフが祖父の誕生日会の席でプレゼントしてくれた宝物。すでに電池が切れて動かないのですが、私のお守りです。カバンに入れてるだけで「もっと頑張ろう」って励みになりました。

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