とろサーモンが証明 「芸人が面白いと思う芸人は売れる」
お笑い界では「芸人が面白いと思う芸人は必ず売れる」という定説がある。同業者だからこそ理解できるような飛び抜けたセンスを持っている芸人は、遅かれ早かれその才能が世間でも見いだされて、売れるときが訪れるというのだ。
しかし、とろサーモンは長い間、この定説を覆す存在として不遇の時代を過ごしてきた。金正恩似の久保田かずのぶ(38=写真右)と甘いマスクの村田秀亮(38=同左)の漫才コンビ。大阪で活動を始めた彼らは、早い段階でその実力を開花させ、「ABCお笑い新人グランプリ」など大阪のお笑いコンテストでいくつものタイトルを獲得してきた。
ところが、さらなる飛躍を求めて東京に出てきたところ、苦難が待ち受けていた。
大阪で実績があった彼らも、東京ではほとんど無名に等しい存在だった。漫才の腕には定評があったのだが、全国ネットの「M―1グランプリ」だけはどうしても勝ち切れず、一度も決勝に上がれなかった。
芸人としての仕事が少なかったため、久保田はリヤカーを引いて石焼き芋を売ったり、水商売の店で働いて生計を立てていた。しかし、そんな生活に耐えられなかった妻とは離婚することになり、久保田は精神的にもギリギリのところまで追い込まれていた。