碓井広義
著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

長澤まさみら怪演 ドラマを支える脚本と“仕掛け”の面白さ

公開日: 更新日:

 コンフィデンスマン、もしくはコンマン。その意味は詐欺師とかペテン師で、相手を信用させて詐欺を働くことを指すのが「コンゲーム」だ。

 コンゲーム映画なら、懐かしいところではポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの「スティング」(73年)。最近ならジョージ・クルーニー主演「オーシャンズ11」シリーズがある。フジ月9「コンフィデンスマンJP」は、まさにコンゲームドラマだ。

 チームはボスのダー子(長澤まさみ)、人のいい青年詐欺師ボクちゃん(東出昌大)、そして変装名人リチャード(小日向文世)の3人である。

 これまでにターゲットとなったのは裏の顔を持つ公益財団会長(江口洋介)、ホテルチェーンの強欲経営者(吉瀬美智子)など。先週は食品偽装で儲けている社長(佐野史郎)だったが、彼の映画好きを利用した「映画製作詐欺」ともいうべき仕掛けが見ものだった。

 そう、コンゲームドラマの醍醐味は一にも二にも「仕掛け」の面白さにある。脚本は「鈴木先生」(テレビ東京系)や「リーガル・ハイ」(フジテレビ系)を手掛けてきた古沢良太のオリジナル。ハリウッド並みのスケールは無理だが、3人のキャラクターを生かした「だまし技」の連打が痛快だ。加えて長澤の異様なテンションと、吹っ切れたようなコスプレショーも一見の価値がある。

 今期ドラマの怪演大賞だ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

  2. 2
    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

  3. 3
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

  4. 4
    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

  5. 5
    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

  1. 6
    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

  2. 7
    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

  3. 8
    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

  4. 9
    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

  5. 10
    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う

    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う