戦争映画「フューリー」 激闘するシャーマンvsタイガーI型

公開日: 更新日:

 戦車が暴れ回る映画は「鬼戦車T―34」(64年)や「バルジ大作戦」(65年)、「プライベート・ライアン」(98年)など数多いが、シャーマンとティーガーの実力差をここまで描いた作品は珍しい。大砲の弾にびくともしない敵に勝つには後部を狙うしかないため、シャーマンは戦闘機のように回り込んでバックを取ろうとする。俯瞰(ふかん)撮影のおかげで戦車2両の位置関係が分かりやすい。

 終盤の攻防戦はご都合主義な面もあるが、前半は顔から剥がれた皮膚やブルドーザーで埋められる死体の山、ナチ親衛隊によって縛り首にされたドイツ国民など戦争の悲惨さが描かれている。

 コリアーはノーマンを羽交い締めして捕虜を射殺させるわ、「おまえがヤラなきゃ俺がヤる」と強姦をちらつかせるわと無法ぶりも発揮。善し悪しは別として一味違うキャラ設定だ。

 戦争映画は野原や森が続くものだが、本作はエマのアパートが入ることで人間同士の皮肉な対立がリアルに感じられる。そのことが悲劇性を高めているように思えるのだ。 (森田健司)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  2. 2

    7代目になってもカネのうまみがない山口組

  3. 3

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  4. 4

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  5. 5

    打者にとって藤浪晋太郎ほど嫌な投手はいない。本人はもちろん、ベンチがそう割り切れるか

  1. 6

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  2. 7

    DeNA藤浪晋太郎がマウンド外で大炎上!中日関係者が激怒した“意固地”は筋金入り

  3. 8

    収束不可能な「広陵事件」の大炎上には正直、苛立ちに近い感情さえ覚えます

  4. 9

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  5. 10

    吉村府知事肝いり「副首都構想」に陰り…大阪万博“帰宅困難問題”への場当たり対応で露呈した大甘な危機管理