星野陽平
著者のコラム一覧
星野陽平ジャーナリスト

1976年、東京都生まれ。早稲田大学卒。編著に「実録! 株式市場のカラクリ」(イースト・プレス)、著書に「芸能人はなぜ干されるのか? 芸能界独占禁止法違反」「芸能人に投資は必要か? アイドル奴隷契約の実態」(ともに鹿砦社)がある。2017年には公取委で「独占禁止法をめぐる芸能界の諸問題」の講演を行った。

1979年に渡辺プロを独立 森進一が受けた“森潰し”の圧力

公開日: 更新日:

 ところが、独立した森は、レコードを出せなくなり、テレビ出演も激減した。その理由は、渡辺プロ以外の芸能事務所も協調して“森潰し”に加わったためとされる。森の独立をあっさり認めると、雪崩現象が起きかねず、業界にとって死活問題となる。そこで音事協が業界の意思を体現して、テレビ局などに圧力を加えていたといわれている。

 森は、独立から半年後、ようやく独立後1作目のシングルをリリースでき、それなりにヒットした。

 だが、ここで新たな問題が発生した。森が他の歌手やタレントに対し、自分のように独立するよう、“そそのかした”といわれたのだ。当時、名前が取り沙汰されたのは、サンミュージック所属の都はるみや、芸映プロ所属の西城秀樹ら。音事協の総会では「あんな男はこの世界にいてもらいたくない」という声も上がった。

 この影響で、80年6月ごろより、芸能界に森との共演拒否の動きが広がり、森は再び窮地に立った。その直後、森と女優の大原麗子の結婚披露宴が開かれたが、騒動の余波で欠席者が相次ぎ、森のメンツは丸潰れとなった。

 仲人の自民党代議士、山中貞則は「私は独禁法の権威でありますが、仮に事業者団体が特定の者を排除しますと、独禁法が発動されることになる」と披露宴の席で挨拶したが、この時、結局、公取委は動かず、森は苦杯をなめたのだった。=つづく

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    日本球界今オフを襲うポスティング地獄…“予備軍”もゴロゴロ、空洞化ますます加速

    日本球界今オフを襲うポスティング地獄…“予備軍”もゴロゴロ、空洞化ますます加速

  2. 2
    佐々木朗希とのただならぬ関係…陰で糸引く「黒幕」は大船渡高時代の韓国遠征まで追いかけた

    佐々木朗希とのただならぬ関係…陰で糸引く「黒幕」は大船渡高時代の韓国遠征まで追いかけた

  3. 3
    ついに国民年金65歳まで納付案が…政府がヒタ隠す「年金積立金250兆円」という都合の悪い真実

    ついに国民年金65歳まで納付案が…政府がヒタ隠す「年金積立金250兆円」という都合の悪い真実

  4. 4
    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

  5. 5
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

  1. 6
    「白鵬の弟子」押し付け合い勃発! あちこちから聞こえる師匠譲りの不穏な評判

    「白鵬の弟子」押し付け合い勃発! あちこちから聞こえる師匠譲りの不穏な評判

  2. 7
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 8
    キムタク主演ドラマがまさかの1ケタ…“考察”慣れしすぎて王道スポ根が楽しめない?

    キムタク主演ドラマがまさかの1ケタ…“考察”慣れしすぎて王道スポ根が楽しめない?

  4. 9
    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

  5. 10
    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異

    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異