著者のコラム一覧
荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

<8>「今日は小津ですから」と初ライカで撮った笠智衆さん

公開日: 更新日:

「自分の写真に教えられる」というのが多いんだよ

 本人はさ、手をちょっと上げて、くらいな感じで、オレもさ、こうやってお互いに手を上げてね。この笑顔と手の具合というのが、「よう!」っていうのと、「さよなら!」っていうのと両方写っている。「こんにちは」と「さようなら」が同時にね。自分の写真に生と死を一緒に撮ったというのを、気づかせてくれるんだよ、向こうが。それをオレは無意識で撮っている。撮るときに、これは「こんにちは」と「さようなら」を一緒に撮ろう、とは思わない。瞬間、その時の、相手との魂といっちゃ大げさだけど、行ったり来たりする気持ち。オレが人物を撮るときはさ、これがなくちゃダメなんだよね。あぁ、そうなんだって、自分の写真に教えられるというのが多いんだよ、オレの場合は。だからね、感性が先行しているんだよね(笑)。

 ロンドンのバービカン(・アート・ギャラリー)で展覧会をやったときに(2005年、大回顧展を開催)、隣の映画館で、個展と一緒にオレの選んだ映画も上映したんだ。小津の『東京物語』をやって、舞台挨拶もしたんだけど、最初に、「私は北野武ではありません!」って言ったら、大爆笑でウケたんだよね~。ローアングルの小津安二郎は、きっとスケベなんだよっていう話もしたね(笑)。

(構成=内田真由美)

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