コロナ禍に光る…仁左衛門と玉三郎の熟練された「恋模様」

公開日: 更新日:

 緊急事態宣言が出たものの、昨年のように中止にはならなかったが、第3部の終演時間が20時になったので、第1部の開演が10時半になった。こんな早くから芝居を上演しているのは、世界中でも歌舞伎くらいではないだろうか。そのせいもあるのか、第1部はあまりお客さんも入っていなかったが、第2部と第3部は盛況だ。

 第1部の「泥棒と若殿」は、しばらく上演されていなかったのを、坂東三津五郎が尾上松緑を相手にして復活させたもので、それを三津五郎の子の巳之助が継いだ。いまの巳之助はまさに「若殿」の年齢なので適役。軽い、笑わせる役が多いが、こういうシリアスな役もできる。他に「本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)」。

 第2部は仁左衛門と玉三郎で鶴屋南北の「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)」と「神田祭」。歌舞伎座はコロナ対策で掛け声が禁止され、当初は物足りなく感じたが、半年も続くとそれにも慣れてくるから、恐ろしい。

 しかし、今月の仁左衛門・玉三郎の舞台では、掛け声の不在に、物足りなさを強く感じた。掛け声を封印しての公演に不自然さをさほど感じなかったのは、演じている役者が「コロナ禍だから」という意識で、どこか抑制的に演じていたからだろう。客もその前提で、いまはこれで仕方がないと思いながら見ていた。だが、今月の仁左衛門と玉三郎は全開している。コロナ禍をまったく意識させない。だから、掛け声のなさが不自然に感じてしまう。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  2. 2

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  3. 3

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  4. 4

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  5. 5

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  1. 6

    大炎上中の維新「国保逃れ」を猪瀬直樹議員まさかの“絶賛” 政界関係者が激怒!

  2. 7

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  3. 8

    維新の「終わりの始まり」…自民批判できず党勢拡大も困難で薄れる存在意義 吉村&藤田の二頭政治いつまで?

  4. 9

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  5. 10

    SKY-HI「未成年アイドルを深夜に呼び出し」報道の波紋 “芸能界を健全に”の崇高理念が完全ブーメラン