飯田譲治さんが語る 今井雅之さんとの思い出ツーショット

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飯田譲治さん(映画監督、演出家、作家/62歳)

 1990年代のヒットドラマ「沙粧妙子―最後の事件―」や「ギフト」の脚本家、ホラー小説「NIGHT HEAD」「アナザヘヴン」の作家で演出家、映画監督としても活躍する飯田譲治さん。秘蔵写真は今月で亡くなって6年になる今井雅之さん(享年54)との思い出のツーショット。ドラマ「世にも奇妙な物語」シリーズでの出会いから重ねてきた交流と七回忌への思いも語ってくれた。

  ◇  ◇  ◇

 写真は今井と一緒にやった「ゆく年くる年」という舞台の時。その芝居のパンフレット用に対談した日の写真ですね。今井とはたくさん仕事をしてきました。

 出会いのきっかけは僕が「バトルヒーター」(89年)という映画を撮った後、ハリウッドに行って彼の現地での活動を知ったこと。2カ月ほどの滞在中に、ちょうどロスのアクターズスタジオで、今井が脚本、演出、主演の「THE WINDS OF GOD」の舞台を上演していたんです。最初は「リーインカーネーション」というタイトルでした。

「日本人がロスで戦争の話を舞台でやっていて、しかも、アメリカ人が見て泣いている」という話を現地の人から聞いて、「頑張ってる日本人がいるんだな」と思い、今井雅之という名前もその時に聞きました。でも、その時は舞台を見には行けなくてね。

 日本に戻り、「世にも奇妙な物語」(フジテレビ系)の「常識酒場」という兄弟の物語を脚本・演出で作る時、兄役は局側から当時、人気の若手である江口洋介や織田裕二らの名前を挙げられたけど、みんなスケジュールがなくてダメで。

 そこで僕は今井の名を局に申し出た。今井は当時まったくの無名でしたけど、ロスの舞台で主演しているし、彼の出てるVシネマを見て「面白いし、いける」と思ったから、「今井雅之でやりたい」と言ったんです。そしたらなぜかフジテレビがOKしたんですよ(笑い)。

 初対面は「世にも」の衣装合わせ。後に聞いた話では、彼は小さい役だと勘違いして、マネジャーに断るように言ったところ、主演だと聞いてビックリしたそうです。そのドラマから意気投合して、プライベートも仕事もともにする仲になりました。

 今井が予知能力がある踊りの家元の方を知っていて、2人で会いに行くことに。家元の方は僕に関するいろいろな予言をされたんです。その後、だいたいその方の言う通りになって。初めて実在の超能力者に会ったことで、兄弟が出てくる「常識酒場」がSFドラマとなった「NIGHT HEAD」の台本が書けたんですよ。

 そんな経緯があったから、深夜ドラマとして僕が「NIGHT HEAD」(92年)を撮ることになった時、兄弟役は「常識酒場」と同じ俳優で撮ろうと考えた。そしたら今井がまたロスで舞台をやるので、スケジュールがなかった!

■豊川悦司、武田真治は無名だった

 仕方なくオーディションをして兄は豊川悦司、弟は武田真治になったんです。2人とも無名だったけど、あのドラマで人気になって。今井は豊川が売れて、常盤貴子や安田成美と出てる恋愛ドラマを見て「本当だったら俺が共演してるはずなのに!」と悔しがってましたよ(笑い)。

 今井もその後売れました。頭がよくて考え方もしっかりしているいい役者でしたから、僕は「この男が売れなかったら芸能界はウソだ」とさえ思ってました。

木村拓哉「ギフト」は局に言ってレギュラーに

 ドラマ「ギフト」(97年)の時は「どうしても使いたい」と僕が局に言い、レギュラーにしてもらいました。木村拓哉さんや僕と仲のいい室井滋とか、アドリブがうまい連中ばかりで芝居が面白いドラマになって、うれしかった。その後もいろいろ仕事をともにしてきました。

 亡くなった時は正直ショックでしたね。何かやる時は声をかけて、一緒に仕事したいと思っていたから。ドラマの「あしたの、喜多善男~世界一不運な男の、奇跡の11日間~」(2008年)が一緒に仕事をした最後の作品。体調が悪くなるのは亡くなる1年前くらい。検査をしなかったのもあだになって。

■「THE WINDS OF GOD」は傑作

 06年版「THE WINDS OF GOD―KAMIKAZE―」を今井が映画にした時は何億円もかけて、彼は勝負に出たんです。セリフは全部、英語。僕は完成作品を見た時、傑作だと思ったし、「これは勝つな」と確信したけど、日本の映画界には評価されなくて……。

 本当にいい作品が世の中に広まらないのは世の常というか、悲しいなぁと。資金集めを初めから頑張ってる今井を近くで見ていて、大変だと思ってました。

 これはとにかく傑作なので、今井が監督した本作のDVDをぜひ見てほしいですね。

 命日に僕は今井のお兄ちゃんにお会いする予定でいます。5月28日の命日に多くの方が今井のことを思い出してくれたらと思います。

(聞き手=松野大介)

▽飯田譲治(いいだ・じょうじ)1959年3月、長野県出身。80年代後半に脚本家、演出家デビュー以降、ドラマの脚本や演出を多数手がけ、映画に監督、脚本を務める「らせん」「アナザヘヴン」など多数。近年にドラマ「アイアングランマ」(NHKBSプレミアム)シリーズがある。7月には「NIGHT HEAD」の設定が2041年としてリニューアルされたアニメ「NIGHT HEAD 2041」(原作・脚本)全12話がオンエア。以降、世界各国へ配信。

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