著者のコラム一覧
伊藤さとり映画パーソナリティー

映画コメンテーターとして映画舞台挨拶のMCやTVやラジオで映画紹介を始め、映画レビューを執筆。その他、TSUTAYA映画DJを25年にわたり務める。映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当。レギュラーは「伊藤さとりと映画な仲間たち」俳優対談&監督対談番組(Youtube)他、東映チャンネル、ぴあ、スクリーン、シネマスクエア、otocotoなど。心理カウンセラーの資格から本を出版したり、心理テストをパンフレットや雑誌に掲載。映画賞審査員も。 →公式HP

「007」ダニエル・クレイグのボンド卒業作 これまでと明らかに違うことは?

公開日: 更新日:

 現在、公開中の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、6代目ジェームズ・ボンドとなるダニエル・クレイグのボンド卒業作品としても話題を呼び、全国週末動員ランキング初登場第1位という大ヒットとなっています。

 その理由としては、ボンド役のダニエル・クレイグが女性にも人気があることに加え、『007』自体が長年のシリーズファンでなくても、それぞれの俳優が演じたボンドシリーズだけでも楽しめるという認識が浸透したことで、1962年にスクリーンに登場した初代のショーン・コネリー(1~5作、7作)、2代目のジョージ・レーゼンビー(6作)、3代目のロジャー・ムーア(8~14作)、4代目のティモシー・ダルトン(15作、16作)5代目のピアース・ブロスナン(17~20作)というように、〇〇版ボンドとして気軽に見られるようになったことが要因ではないでしょうか。

「女性を本気で愛する」ダニエル・クレイグ版ボンドの魅力

 特にダニエル・クレイグ版ボンドの第1作『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)は、007になる前の荒削りジェームズ・ボンドの物語として、007初心者と同じ目線で「00」という“殺しのライセンス”を持つ男の成長を見守ることになるので、新規のファンを多く取り込む結果を生みました。

 しかもダニエル・ボンドはヴェスパーというひとりの女性を本気で愛した人間味溢れる男であると1作目で認識されたこともあり、その後、感情面でもドラマティックな展開を迎えていくことになります。

 そこから物語は、『007/慰めの報酬』(2008)、『007/スカイフォール』(2012)と続き、4作目の『007/スペクター』(2015)ではマドレーヌという女性と再び本気の恋に落ち、そして今回の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』で“愛と復讐の物語”が最終章を迎えるのです。

MeToo運動を経て、新世代の“ボンドウーマン”

 さて、今作ではこれまでとは明らかに違う注目すべき点が2つあります。それは「ボンドガール」という呼び名から「ボンドウーマン」への変更、そしてシリーズ初の「00」=殺しのライセンスを持つ女性キャラクターの登場です。

 そこは現在配信でも見られるドキュメンタリー「ジェームズ・ボンドとして」でも言及されていますが、世界的に広がったMeToo運動を意識して女性の活躍を増やすことを『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』でも心がけたと女性のプロデューサーであるバーバラ・ブロッコリが話しています。

■黒人女優のラシャーナ・リンチを起用

 彼女は以前から『007』シリーズに関わっており、ピアース・ブロスナンやダニエル・クレイグといった女性に人気の俳優を起用した立役者と言えるのではないでしょうか。しかも本作で登場する「00」役には『キャプテン・マーベル』(2019)にも出演する黒人女優のラシャーナ・リンチを起用。彼女がボンドと肩を並べるほど有能なスパイであることが本作では描かれています。

 これからは、女性でも「00」のコードネームを貰えるという英国紳士の代表格的な映画での改革。それでも男性ファンの思いも忘れずに、愛くるしい顔立ちが魅力の女優アナ・デ・アルマスがCIA新米女性エージェントに扮して登場。今回のボンドウーマンとして、胸元がざっくり開き、スリットの入ったセクシーなドレスで華麗なアクションを披露してくれるのが、往年の『007』ファンも満足させる要因になったのではないでしょうか。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  2. 2

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  5. 5

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  1. 6

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  2. 7

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  3. 8

    田中圭が『悪者』で永野芽郁“二股不倫”騒動はおしまいか? 家族を裏切った重い代償

  4. 9

    永野芽郁「二股不倫報道」の波紋…ベッキー&唐田えりかと同じ道をたどってしまうのか?

  5. 10

    のんが“改名騒動”以来11年ぶり民放ドラマ出演の背景…因縁の前事務所俳優とは共演NG懸念も

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  2. 2

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 3

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道でも活動自粛&会見なし“強行突破”作戦の行方…カギを握るのは外資企業か

  5. 5

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  1. 6

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  2. 7

    三山凌輝に「1億円結婚詐欺」疑惑…SKY-HIの対応は? お手本は「純烈」メンバーの不祥事案件

  3. 8

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  4. 9

    佐藤健と「私の夫と結婚して」W主演で小芝風花を心配するSNS…永野芽郁のW不倫騒動で“共演者キラー”ぶり再注目

  5. 10

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意