「演劇界のおしどり夫婦」平田満&井上加奈子に聞く 40年ぶりに再会する恋人同士への意気込み

公開日: 更新日:

 演劇界のおしどり夫婦といえば平田満と井上加奈子夫妻。2人が主宰する「アル☆カンパニー」が19日から新宿三丁目・雑遊で「POPPY!!!」を上演する。旗揚げから15年。コロナ禍の演劇事情などを聞いてみた。

  ◇  ◇  ◇

――1年ぶりの公演ですが。

平田「本当は昨年上演する予定だったのですが、コロナ禍を考えて、なるべく感染リスクの少ないリーディング(朗読)公演として2日間だけ上演した作品なんです。私も予定してた映画が延期や中止になったり、結構大変な一年でしたね」

――今まで、青木豪、蓬莱竜太、前田司郎、松田正隆、田村孝裕、三浦大輔、桑原裕子ら錚々たる劇作家と組んできましたが。

井上「旗揚げが2006年。詩人である平田俊子さんの『(お)もろい夫婦』という作品で、今でも演劇鑑賞団体が上演してくれるんです。今回の作・演出は野田慈伸さんという若い演劇人で、私たちの半分くらいの年齢。彼の主宰する『桃尻犬』の舞台を見に行って一発で気に入って、すぐにお会いして今回の作品を依頼しました」

――どんな物語?

平田「世代の異なる3組の男女が繰り広げるコミカルな恋の物語で、僕と井上は40年ぶりに再会する元恋人同士という設定。よく考えたら、僕らも結婚して40年。つかこうへいさんの『郵便屋さんちょっと』の相手役として出会ってから50年近いですからね(笑い)」

体力があるうちに弾けた芝居をやりたい

――平田さんの芝居の情熱の原動力は?

平田「無趣味だから、休みの日も自分のカンパニーのためのリサーチを兼ねて舞台を見に行ったり……。芝居やってると、生きてるなあと実感できるんです」

井上「特に若い世代と一緒に舞台をつくるのが楽しいですね。早稲田の大隈講堂の裏でやってた学生芝居が原点だから、今も手作り感が好き。体力があるうちは若い人たちと弾けた芝居をやりたいと思っています」

――今は打ち上げも自粛ですね。

平田「稽古中もみんなで食事に行ったり飲みにも行けないし。みんなでワイワイやってる中から、演技のヒントや発見があったりするので、今の状況は本当に残念ですね」

――最近、風間杜夫さんがテレビなどで「笠智衆を継ぐのは平田満しかいない」と盛んに言ってますが。

平田「風間さんはあちこちで言ってるんですよ(笑い)。でも、老け役ができるのはほかにもいらっしゃいますしね。僕は立派な人間じゃなく、愛すべきダメ人間が好きなんです。今回の役もちょっと情けないおじさん役。元カノとの再会も『あるある』感満載で、思い当たる世代にとってはじわりと心に響くと思います」

(聞き手・山田勝仁=演劇ジャーナリスト)

◆アル☆カンパニー公演「POPPY!!!」は19~28日、新宿三丁目・雑遊で。ほかに町田水城、平田耕太郎、徳橋みのり、青山祥子。12月4、5日は愛知県豊橋市・穂の国とよはし芸術劇場PLATアートスペースで。 

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