NHK「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」運命の人に出会えた“姉妹”の物語
最近、姉妹といったら「こまどり姉妹」でも「叶姉妹」でもない。断然「阿佐ヶ谷姉妹」である。
特にネーミングが傑作だ。これが「二子玉川姉妹」や「京成高砂姉妹」だと全く違うイメージになってしまう。「純情商店街」や「文士村」といった言葉も思い浮かぶ地名にほっこりするのだ。
よるドラ「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」(NHK)の原作は、姉妹が書いた同名エッセイ集。演劇の養成所で知り合った2人の女性が、疑似姉妹としてお笑いコンビを組んでいる。でも、まだ売れてはいない。
それぞれ阿佐ヶ谷で暮らしていたが、やがて姉・渡辺江里子(木村多江)の部屋に、妹・木村美穂(安藤玉恵)が転がり込む形で、6畳一間の同居生活が始まるのだ。
どちらもちょっとヘンだが、おっとりした犬型の姉とマイペースな猫型の妹。性格の「差異」は歴然だ。そこから生まれるユーモアとペーソスを、木村と安藤が大仰ではなく自然に表現していく。
たとえば、当初は枕を並べて寝ていた2人。妹が「仕事でも家でも一緒。寝るときまで同じ顔を見るのは辛い」と言い出し、布団を180度回転させるエピソードなど、じわじわとおかしい。
かつて同じ養成所で仲間だった女性が「私にとっての江里子や美穂に出会っていたら、人生違っていたかも」と言っていた。世間ではそれを“運命の人”と呼ぶ。