なぜ“不妊”はこれほど増えたのか…男性不妊の30〜50%は「原因不明」の現実
晩婚化やストレス、生活習慣の変化によって、生殖能力の低下は男女ともに進んでいる。今回は“男性不妊”について世界の事情とともに治療法も紹介する。
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これまで「不妊=女性の問題」と捉えられがちだったが、実際には原因の約半数が男性側にある。「男性不妊」という言葉はまだ広く浸透していないが、検査を進めるうちに「実は夫側に原因があった」という例は少なくない。パートナー任せにせず、男性自身が自分の健康に関心を持つことが重要だ。
1990年代以降、精子の質の低下が世界的にも報告されている。精子の数、運動率、形態のいずれもが下がっており、これは加齢だけでなく、現代的なライフスタイルにも起因する。たとえば、環境ホルモンや化学物質への暴露、スマートフォンやノートパソコンを膝上で長時間使用することによる陰嚢部の加熱などが挙げられる。精子は熱に弱く、わずかな温度上昇でも質が落ちるとされる。
さらに、喫煙・飲酒・肥満・運動不足・睡眠の質の低下といった生活習慣の乱れも大きな要因だ。夜型生活やストレス、メタボリックシンドロームも、精子のDNA損傷や形成異常に関与する。