「風を彩る怪物」逸木裕著
「風を彩る怪物」逸木裕著
19歳の陽菜は、姉の亜季が営む山の中のカフェを訪ねる。住民たちと室内楽をやっている亜季から、演奏会の助っ人を頼まれたのだ。フルート奏者を目指している陽菜は、あることをきっかけに思うようにフルートが吹けなくなり、音大の受験にも失敗し、失意の中にいた。
ある日、陽菜は森の音に金属音が混じっていることに気づく。音を頼りに道を上っていくと、倉庫のような建物の中でパイプを叩いている人がいた。そこは世界的なパイプオルガンのビルダー・芦原の工房で、パイプを叩いていたのは彼の娘の朋子だった。芦原から耳の良さを見込まれ、オルガンづくりの手伝いをすることになった陽菜だが、なぜか朋子は陽菜に冷たく接する。
パイプオルガンの製作に魅せられた陽菜と朋子を主人公に描く青春小説。
(祥伝社 1166円)