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細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

五木ひろしの光と影<27>歌謡界の金字塔・日本レコ大で「絶対にナベプロに勝ってみせる」

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 以前、往年のアイドル歌手にまつわる週刊誌の特集記事を担当した際、3人の関係者に会って話を聞いた。一人はアイドル雑誌の元編集長、一人はカメラマン、一人はレコード会社の元重役である。その元重役はアイドルに関することだけではなく、当時の賞レースがいかなるものかよく知っていた。彼が担当したアイドルは、中学生だった筆者も夢中になるくらい大人気だったが、賞レースとは無縁だった。辞退したからだ。「映画出演のスケジュールが多忙で、やむをえず辞退した」という当時の公式発表を、筆者は長年うのみにしていたが、実際はそうではなかった。所属事務所とレコード会社とで話し合った末に、出ないことを決めたのだという。

■賞レースを左右する事務所パワー

 何度も述べているように、賞レースは人気や楽曲のセールスとはまた別の力学が働く。それでも落選したらファンやテレビの視聴者にとっては「落選した」「敗れた」という事実だけが残る。受賞して涙を流さんばかりに喜ぶ歌手と、寂しそうに立ち尽くす歌手。勝者と敗者。あくまでも印象の問題でしかないのだが、敗れたというイメージは嫌でも残る。出場するからには勝たないと意味がないのだ。とはいえ、いくらレコード会社が死力を振り絞ってもどうにもならない。「賞レースというのは、結局のところ事務所のパワーがモノをいうんです」と元重役はこぼした。

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