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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

一時は引退を考え…相席スタート・山添が「悪童キャラ」を発揮するまで

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 相席スタートといえば、結成から程なく注目されたコンビだ。何しろ、結成した13年に「THE MANZAI」(フジテレビ系)の「認定漫才師」に選ばれているのだ。だが、注目されるのは相方のケイの方ばかり。

 それはある意味、当然だった。「ケイさんが一番生きてケイさんがいいと思うネタを作ってきたので、自然と僕はケイさんの言いたいことの振り役になってた」(とうこう・あい「QJweb」22年4月11日)からだ。

 男目線でおもしろいツッコミを入れたいと思っても、ケイの「メッセージ」という名のボケの邪魔になるからと却下された。「ケイさんにとって心地のいい相づちを打つ役」(同前)にならざるを得ず、ネタを書いている山添が脚光を浴びることはなかった。

 いつしか山添は「何もできない」芸人のような扱いを受けるようになってしまった。「いろいろ考えるところがあって、お笑いを辞めようって思ったこと」(同前)もあったという。どうせ、辞めるなら後悔がないように辞めたいと思い、今までセーブしていた自分を出し始め、山添が「夢追い」と呼ぶギャンブルや、「絆」と呼ぶ借金の話など、クズエピソードを話すようになって道が開けた。

 自分は「クズ」ではないという彼は「今は『クズ』から『サイコパス』って言われるようになって、今度は『悪童』になって、もう芸風めちゃくちゃですよ」(同前)と不敵に笑いながら、しぶとく、ひょうひょうと芸能界の中に自分の席を手に入れた。

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