天野ひろゆきさん「これからという時にゴメンな」人生を変えたがん闘病中のマネージャーのひと言

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ウドちゃんは「強い男」と思った

 ある時期からセキがすごく出るようになり、病院が好きじゃない人だったので、病院に行った時には呼吸器系のがんが進行していたんです。僕らの担当で10年弱くらいやられていた頃だから40代後半かな。

 もしかしたら余命何日かもしれないという時、ウドちゃんと専務とお見舞いに訪ねました。最後の挨拶というわけではないんですけどね……。

 矢島さんはがんとは知らず、でも、気づいていたかもしれません。僕は涙を我慢しなきゃいけないのに、痩せた矢島さんを見た瞬間、泣いてしまって。でも、ウドちゃんはちゃんと我慢できているんです。何でもない時にはすぐ泣くんですけどね。「強い男だなあ」と思いました。

「僕、これからも頑張ります」と話したら、矢島さんが「これからいろいろ頑張らなきゃいけない時に、ゴメンな」と言ってくれて。僕が生意気で、いっぱい迷惑かけてきたのに。

 そう言われた瞬間、僕は涙が止まらなくなっちゃって、矢島さんに感謝の気持ちを素直に持ちました。

 僕らの単独ライブもつくってくれて、いろんな番組に出してくれて、僕らの未来を一番見たかった人なのに、その数日後、亡くなってしまった。志半ばで亡くなった矢島さんの分まで生きなきゃという感覚をもらいました。

 その日からウドちゃんが「天野くんは人がやさしくなったし、丸くなった」と言ってましたから。「体形的にも丸くなった」と(笑)。どの瞬間で自分が変わったか? と問われると、僕はマネジャーさんの闘病の末の最期が大きかったんです。

 あれから20年余り、あの瞬間の思いを持って生きてきました。時折、忘れちゃいますので、この取材を機に忘れないようにします。

(聞き手=松野大介)

▽天野ひろゆき 1970年3月、愛知県生まれ。91年からウド鈴木とお笑いコンビ、キャイ~ンとして活動。「もしもツアーズ」(フジテレビ系)、「大西泰斗の英会話 定番レシピ」(Eテレ)などレギュラー多数。YouTubeチャンネル「キャイ~ンのティアチャンネル」も配信中。

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