著者のコラム一覧
立岩陽一郎ジャーナリスト

NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」はじめ、「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」「トランプ王国の素顔」「ファクトチェックとは何か」(共著)「NHK 日本的メディアの内幕」など著書多数。毎日放送「よんチャンTV」に出演中。

NHKが健全な公共放送になる日は来るのか 元記者の葬儀に森元首相から弔花が届いた

公開日: 更新日:

 今年8月、元NHK記者が死亡した。その葬儀に贈られた花を参列者は複雑な思いで見た。送り主が森喜朗元首相だったからだ。

 私は2021年に、「指南書問題」という記事を書いた。その詳細は「NHK記者がNHKを取材した」(電子書籍)で確認していただきたいが、問題発言で政権崩壊の危機にあった当時の森首相に危機を切り抜けるための指南書を記者が書いていたというものだ。当時は誰かは不明とされたが、私の取材でそれがNHKの当時の首相官邸の記者だったことがわかった。

 葬儀は指南書を書いたとされる元記者のものだった。実は当時から指南書を書いたのはNHKの記者だとの指摘はあった。しかしNHKは当時の海老沢勝二会長がそれを否定。私の記事に対しても、NHKは当時の会長答弁を繰り返した。私は記事で、NHKにその検証を求めた。それがNHKの再生に不可欠だと考えたからだ。しかし当事者の死で、その機会は失われた。

 本来、報道機関とは何か問題が起きれば事実を解明すべき存在だ。では、NHKは自らに不都合な問題が起きた時、それに向き合ってきただろうか? 私にはその印象はない。どちらかというと、世間が忘れるのを待つというのがその印象だ。そのひとつがこの指南書問題であり、もうひとつが小欄で何度も取り上げている佐戸未和さんの過労死の問題だ。小欄も残すところ2回となった今回、やはりこの問題を取り上げないわけにはいかない。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    福山雅治「フジ不適切会合」参加で掘り起こされた吉高由里子への“完全アウト”なセクハラ発言

  2. 2

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  3. 3

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  4. 4

    福山雅治、石橋貴明…フジ飲み会問題で匿名有力者が暴かれる中、注目される「スイートルームの会」“タレントU氏”は誰だ?

  5. 5

    福山雅治「ラストマン」好調維持も懸案は“髪形”か…《さすがに老けた?》のからくり

  1. 6

    福山雅治イメージ大暴落…「路上泥酔女性お持ち帰り」発言とファンからの"賽銭おねだり”が時を経て批判集中

  2. 7

    フジテレビ「不適切会合」出席の福山雅治が連発した下ネタとそのルーツ…引退した中居正広氏とは“同根”

  3. 8

    5億円豪邸も…岡田准一は“マスオさん状態”になる可能性

  4. 9

    福山雅治がフジ第三者委「有力番組出演者」と認めた衝撃…NHKの仕事にも波及不可避、ファンは早くも「もうダメかも…」

  5. 10

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福山雅治「フジ不適切会合」参加で掘り起こされた吉高由里子への“完全アウト”なセクハラ発言

  2. 2

    福山雅治「ラストマン」好調維持も懸案は“髪形”か…《さすがに老けた?》のからくり

  3. 3

    夏の甲子園V候補はなぜ早々と散ったのか...1年通じた過密日程 識者は「春季大会廃止」に言及

  4. 4

    参政党・神谷宗幣代表 にじむ旧統一教会への共鳴…「文化的マルクス主義」に強いこだわり

  5. 5

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  1. 6

    福山雅治、石橋貴明…フジ飲み会問題で匿名有力者が暴かれる中、注目される「スイートルームの会」“タレントU氏”は誰だ?

  2. 7

    広陵問題をSNSの弊害にすり替えやっぱり大炎上…高野連&朝日新聞の「おま言う」案件

  3. 8

    桑田真澄が「KKドラフト」3日後に早大受験で上京→土壇場で“翻意”の裏側

  4. 9

    参政党・神谷宗幣代表の「質問主意書」がヤバすぎる! トンデモ陰謀論どっぷり7項目に政府も困惑?

  5. 10

    「時代に挑んだ男」加納典明(38)同年代のライバル「篠山紀信と荒木経惟、どっちも俺は認めている」