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立岩陽一郎ジャーナリスト

NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」はじめ、「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」「トランプ王国の素顔」「ファクトチェックとは何か」(共著)「NHK 日本的メディアの内幕」など著書多数。毎日放送「よんチャンTV」に出演中。

NHKが健全な公共放送になる日は来るのか 元記者の葬儀に森元首相から弔花が届いた

公開日: 更新日:

 その未和さんの勤務先だった東京都庁の記者クラブでキャップとして勤務していた記者も過労死している。NHKはその際、「再び労災認定を受けたことは痛恨の極みであり、大変重く受け止めています」とのコメントを出しているが、そもそもNHKは未和さんの過労死を教訓にしていない。そう断言できるのは、未和さんの過労死について調査報告書さえ存在しないからだ。その結果、この問題を小欄で取り上げている私にNHKの現役の職員から「あれは持病によるもので過労死ではない。遺族がうるさいのでNHKが過労死にしてあげた」などとする指摘が届いている。もちろん、これは事実ではない。過労死と認定した労働基準監督署は未和さんの健康診断のデータも確認した上で判断を下している。また、NHKが未和さんの情報を積極的に労基署に提出したという事実もない。

 実はNHKには在職中に職員が死亡するケースが少なくない。2017年までの10年間で、91人が在職中に死亡している。多い年で12人、少ない年でも6人が死亡している。それらの中で労基署が調査したら過労死と認定されるケースはあるのではないか? 未和さんの過労死についての調査報告書がない事実が、そうした疑念を抱かせる。

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