三月大歌舞伎で息子・松本幸四郎が40年ぶりに挑む「花の御所始末」

公開日: 更新日:

 中盤、尼は亡き子の髑髏を前にして座し、夫と子の恨みを晴らそうと祈念している。そこに夫・平重衡の亡霊が現れる。これがタイトルの髑髏尼の由来だ。玉三郎の演出は限界まで照明を落とさせ、観客に凝視させる。

 後半は『ノートルダムの鐘』のような話。容姿が醜い鐘楼守と尼によるねじれた愛憎劇で、救いのない結末を迎える。

 観客は唖然としてしまい、客席には戸惑いの声も出て、拍手もいつもよりおとなしい。拍手を忘れてしまうほど、打ちのめされてしまうのだ。ある意味で、稀有な演劇体験だった。めったに上演されないのも無理はない。

 しかし、客を陰鬱な気分のまま帰さないのが、玉三郎だ。『廓文章』で華麗に閉める。 

作家・中川右介)

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  2. 2

    高額療養費制度があるから医療保険はいらない? 病院の窓口業務を行う筆者が実際に骨折して感じたこと

  3. 3

    高市早苗氏に経歴詐称疑惑…事務所が認めた!「議会立法調査官」は“造語”だった

  4. 4

    高市首相の“恥”行動が海外に飛び火! 英タイムスがG7外交をディスり、英FTは国内財界との没交渉ぶりを暴露

  5. 5

    高市首相は筋金入りの嘘つき! 経歴詐称疑惑で米下院関係者が決定的証言「インターンだった」SNSで猛拡散

  1. 6

    バナナマン日村が体調不良で休養するまでの“暴食・連食デイズ”と妻・神田愛花「お腹いっぱい食べさせる」の献身愛

  2. 7

    「2世タレント」がまた! 俳優の村上虹郎が交際女性への壮絶DVで書類送検…父親は村上淳、母親は歌手UA

  3. 8

    西武選手の希望が木端微塵! 本拠地「完全ドーム化」は事実上不可能…根性頼みで過酷な夏へ

  4. 9

    歌手・小椋佳さん「たばこの煙が悩みを解いてくれた」…82歳の今も週1でコンサート

  5. 10

    『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』オールキャリアを代表する傑作のトリセツに注意セヨ