ラサール石井
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ラサール石井タレント

1955年、大阪市出身。本名・石井章雄(いしい・あきお)。鹿児島ラ・サール高校から早大に進学。在学中に劇団テアトル・エコー養成所で一期下だった渡辺正行、小宮孝泰と共にコント赤信号を結成し、数多くのバラエティー番組に出演。またアニメの声優や舞台・演劇活動にも力を入れ、俳優としての出演に留まらず、脚本・演出も数多く手がけている。石井光三オフィス所属。

松本白鸚「ラ・マンチャの男」最終公演に思う 本来あるべき自分を目指して…

公開日: 更新日:

 またこうも言う。

「夢におぼれて現実を見ないのも狂気かもしれぬ。現実のみを追って夢を持たないのも狂気かもしれぬ。だが、一番憎むべき狂気とは、あるがままの人生に、ただ折り合いをつけてしまって、あるべき姿のために戦わないことだ」

 全く古びない、いや今こそ心に響く。何度聞いてもそのたびにドキッとする。

 似たようなことを日刊ゲンダイのインタビューで校正者・大西寿男氏が発言していた。

「政治権力と闘う力が弱ってきているように思います」「真面目な批判や議論に引いてしまうところがある。その一方で、揶揄(やゆ)や冷笑がもてはやされたりする」「かつては政権に斬り込むマスコミに拍手喝采だったのに、今は偏向だとか過激だとか、良いイメージを持たれなかったりします。耳当たりの良い言葉が日常の言葉のベースになっていく中で、『丁寧な説明』などというウソが平然と踊っています」「校正者の仕事は決して美しい言葉、正しい言葉を守るだけではなく、汚い言葉、激しい言葉、どうしようもない言葉も、私たちの生きている言葉、証しとして守っていかなくてはいけないのです。美しい言葉しか残らなかったら、むしろ気持ち悪いですよね。むなしい言葉が私たちのそんな生きた言葉の世界を侵食してきているように思えてなりません」

 校正者だけではない。演劇に携わる私も、いやすべての市民も、「本来あるべき」自分を目指し、闘う言葉を失ってはならない。

 そのために立ち上がった時、ドン・キホーテがアロンソ・キハーナがセルバンテスが、私が、あなたが、「ラ・マンチャの男」になるのだ。

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