映画「キャロル・オブ・ザ・ベル」の監督に聞く 戦禍のウクライナで製作、公開を続ける理由

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妹は妊娠8カ月の身重なのに、地下の防空壕に28日間も籠もった

 ──ロシアによる侵攻が始まって1年あまり。攻撃にも屈しないキーウからの伝言を。

「国際映像などの通り、がれきがあふれ、たしかに危険と隣り合わせで、5歳の長女の幼稚園の送り迎えも気が気でないし、夜、安心して眠ることもままなりません。それでも、テレビもやってますし、劇場も運営しています。私はテレビでドキュメンタリーをつくり、今回の侵攻を扱っています。それでも、キーウから離れず、エンタメ製作を続けるつもりです」

 ──この夏、作品が公開される日本へ。

「いつの世も、戦争になると、女性や子供は人質にされてしまいます。私の家族でも、妹は妊娠8カ月の身重でありながら、湿った地下の防空壕に28日間も籠もらなければならなかった。攻撃の中、迎えに行ったのですが、それも映像として残し、伝えようと思っています。夫(俳優アンドリー・イサイェンコ)とボランティアもして、国軍にも加わり、先日は募金で車両2台を買うこともできました。ロシア人に対しては、悪いイメージを持っていなかったのですが、クリミア半島を侵略した2014年に変わりました。今回の侵攻といい、一体どうして、そんなことをするのか、考えています。苦しい時間が続いていますけど、どんな状況にも希望はある。それは伝えたいです」

(聞き手=長昭彦/日刊ゲンダイ

▽1984年、ウクライナ・キーウ生まれ。キーウ国立演劇映画テレビ大卒。卒業製作映画が「21世紀の新しい映画祭」で審査員賞受賞。映画「キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩(うた)」は第2次世界大戦下、ウクライナ、ポーランド、ユダヤ人の3家族が命の危険にさらされながら、子どもたちを守ろうとするドラマ。7月7日から新宿武蔵野館などで公開。

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