著者のコラム一覧
松尾潔音楽プロデューサー

1968年、福岡県出身。早稲田大学卒。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、SMAP、JUJUらを手がける。EXILE「Ti Amo」(作詞・作曲)で第50回日本レコード大賞「大賞」を受賞。2022年12月、「帰郷」(天童よしみ)で第55回日本作詩大賞受賞。

いい絵だから額装するのではない。額装してはじまる家族の物語がある

公開日: 更新日:

 この夏はあるアルバムレコーディングに多くの日数を割いている。家族で過ごす時間はなかなか確保できず、せっかくの夏休みなのに、子どもたちには物足りぬ思いをさせているようだ。

 久しぶりのオフの先週末、ふと思い立ち、家族を車に乗せて上野へと向かった。ゴールデンウィークから開催中のマティス展が、8月20日に最終日を迎えるのだ。ぼくは10代の頃からマティスが好き。わが子に自分の趣味を押し付ける父親はいつの時代も見苦しいものだけれど、若き日にマティスを体感するのは悪くない経験だよね? 心のなかで何度も自問自答しながら首都高を走った。

 モダンアートの黎明期に大きな役割を果たしたアンリ・マティス(1869~1954)は、20世紀を代表するフランスの巨匠であり、フォーヴィスム(野獣派)のリーダー。今回は東京都美術館が「大回顧展」と言いきるだけあって、パリのポンピドゥー・センターから150点が集まった。絵画だけではなく、彫刻、絵本、切り紙絵まで網羅したこともファンを狂喜させている。

 美術の鑑賞は、年齢を重ねるごとに、人間観察と乖離しがたいものになる。55歳のぼくが、作者の制作時の年齢を確認せずに作品と対峙することはまずない。だからこそ、作品とまっすぐに向き合える若いころの美術鑑賞は貴重なんじゃないか。マティスが好んで描いた窓や金魚を凝視するわが子たちは、モチーフの意味にまでは考えがおよんでいないはずだ。放心したように、色、造形、線をただ見つめている。その一途さに、彼らに残された人生の長さを思った。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  2. 2

    陰謀論もここまで? 美智子上皇后様をめぐりXで怪しい主張相次ぐ

  3. 3

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  4. 4

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  5. 5

    長嶋一茂は“バカ息子落書き騒動”を自虐ネタに解禁も…江角マキコはいま何を? 第一線復帰は?

  1. 6

    嵐ラストで「500億円ボロ儲け」でも“びた一文払われない”性被害者も…藤島ジュリー景子氏に問われる責任問題

  2. 7

    27年度前期朝ドラ「巡るスワン」ヒロインに森田望智 役作りで腋毛を生やし…体当たりの演技の評判と恋の噂

  3. 8

    "お騒がせ元女優"江角マキコさんが長女とTikTokに登場 20歳のタイミングは芸能界デビューの布石か

  4. 9

    独立に成功した「新しい地図」3人を待つ課題…“事務所を出ない”理由を明かした木村拓哉の選択

  5. 10

    Snow Manの強みは抜群のスタイルと、それでも“高みを目指す”チャレンジ精神

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    「立花一派」の一網打尽が司法の意志…広がる捜査の手に内部情報漏した兵庫県議2人も戦々恐々

  3. 3

    「コンプラ違反」で一発退場のTOKIO国分太一…ゾロゾロと出てくる“素行の悪さ”

  4. 4

    「ロイヤルファミリー」視聴率回復は《目黒蓮効果》説に異論も…ハリウッドデビューする“めめ”に足りないもの

  5. 5

    国分太一は人権救済求め「窮状」を訴えるが…5億円自宅に土地、推定年収2億円超の“勝ち組セレブ”ぶりも明らかに

  1. 6

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  2. 7

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です

  3. 8

    元プロ野球投手の一場靖弘さん 裏金問題ドン底を経ての今

  4. 9

    米中が手を組み日本は「蚊帳の外」…切れ始めた「高市女性初首相」の賞味期限

  5. 10

    マエケンは「田中将大を反面教師に」…巨人とヤクルトを蹴って楽天入りの深層