「渡来人とは誰か」高田貫太著
「渡来人とは誰か」高田貫太著
今から約1600年前の古墳時代、朝鮮半島から多くの人が倭王権と各地の地域社会に海を渡ってやってきた。彼らは乗馬や鉄器、須恵器、機織り、金属工芸、土木などの技術や文化を伝え、倭の文化の形成や政治、経済の発展に重要な役割を果たした。このように朝鮮半島から倭に渡って来た人々を日本の考古学や文献史学では渡来人と呼ぶ。1970年代の日本史の教科書では、渡来人の背景に、倭による半島の一部の植民地化を挙げるが、現在の学界ではその説は完全に否定されている。
日朝関係の歴史からひもとき、彼らが渡ってきた理由や、出身、さらに担った役割や、倭の地元の人々との関係など、その実像を解説。倭から半島に渡った人々の存在にも触れながら、渡来人の社会的役割、歴史的役割を考察する。 (筑摩書房 1320円)