著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

トランプ大統領のワールドシリーズ始球式に現実味…懸念は「球がホームプレートに届くか」ただ一点

公開日: 更新日:

 大リーグ公式戦での始球式を行わなかったのが、第1次政権時代のドナルド・トランプである。1910年のウィリアム・タフト以来、始球式を行わなかった大統領はトランプが最初だった。

 歴代の大統領にとって、観客の前に自らの姿を示し、試合に見入る様子を披露することは、親しみやすさや力強さを演出するための格好の手段として活用されてきた。

 例えば、就任から2カ月後の81年3月に暗殺未遂事件に遭遇したレーガンは、84年4月に首都ワシントンから最も近いオリオールズの本拠地メモリアル・スタジアムを訪問した。

 構造上、球場は周囲からの狙撃を完全に防ぐことが難しい。それにもかかわらず始球式を行ったことは「暴力に屈しない大統領」というレーガン像の形成に寄与し、2期目を目指す大統領選挙でも有利に働いた。

 一方、第1次政権でのトランプは当然のように再選を目指していた。そのため、観客から嘲笑や罵声を浴びる様子が放送されたり配信されたりすることは、自らの印象を悪化させ選挙戦略の点からも好ましくないという判断が働き、マウンドに上らなかった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  4. 4

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  5. 5

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  1. 6

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    矢地祐介との破局報道から1年超…川口春奈「お誘いもない」プライベートに「庶民と変わらない」と共感殺到

  4. 9

    渡邊渚“逆ギレ”から見え隠れするフジ退社1年後の正念場…現状では「一発屋」と同じ末路も

  5. 10

    巨人FA捕手・甲斐拓也の“存在価値”はますます減少…同僚岸田が侍J選出でジリ貧状態