直木賞受賞小説の新作歌舞伎「木挽町のあだ討ち」の見どころは?

公開日: 更新日:

 4月の歌舞伎座・昼の部は、直木賞を受賞した永井紗耶子の小説『木挽町のあだ討ち』の歌舞伎化。小説と同じ物語だが、語られ方がまったく違う。原作は6章で構成され、あだ討ちが終わったところから始まり、ある人物が関係者をひとりひとり訪ねていき、彼らの回想によって、徐々に事件の全貌が分かるミステリー仕立て。6回シリーズのテレビドラマには向いているが、舞台劇にするのは難しいタイプの小説だ。脚本の齋藤雅文は、原作をいったんバラバラにして、時間軸にそって描くことで、難題を解決し、成功している。

 主人公の若い武士は、どこまでも愚直というかピュアな青年で、市川染五郎のために書かれた原作ではと思うくらい、ぴったりな役を期待どおりに演じる。主人公を助ける戯作者は軽薄にしか生きられない人物で、松本幸四郎がうまく造形している。登場人物の大半が芝居関係者で、それぞれの事情を抱えて芝居の世界で生きている。一種のバックステージもので、芝居愛に満ちている。

 昼の部のもうひとつは「助六」のパロディー『黒手組曲輪達引』。幸四郎が奮闘しているが、他の配役が地味なせいか華やかさに欠け、「幸四郎で、本当の助六が見たい」という気になってしまう。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    眞子さん極秘出産で小室圭さんついにパパに…秋篠宮ご夫妻に初孫誕生で注目される「第一子の性別」

  2. 2

    1年ぶりNHKレギュラー復活「ブラタモリ」が好調も…心配な観光番組化、案内役とのやり取りにも無理が

  3. 3

    いとうあさこだけでない「育ちの良さ」が隠せない50代女芸人…“実家が太い”“隠れ高学歴”の強者も

  4. 4

    芳根京子“1人勝ち”ムード…昭和新婚ラブコメ『めおと日和』大絶賛の裏に芸能界スキャンダル続きへのウンザリ感

  5. 5

    故・川田亜子さんトラブル判明した「謎の最期」から16年…TBS安住紳一郎アナが“あの曲”を再び

  1. 6

    松山千春だけじゃない“黒い交際”が切れない芸能人たち…組長の誕生日会やゴルフコンペに堂々参加の過去

  2. 7

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  3. 8

    松本潤はやっぱり“持っている男”だった! 主演の7月期TBS日曜劇場はヒットの条件が勢揃い、「どうする家康」の汚名返上へ

  4. 9

    田中圭にくすぶり続ける「離婚危機」の噂…妻さくらの“監視下”で6月も舞台にドラマと主演が続くが

  5. 10

    三山凌輝活動休止への遅すぎた対応…SKY-HIがJYパークになれない理由

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    いとうあさこだけでない「育ちの良さ」が隠せない50代女芸人…“実家が太い”“隠れ高学歴”の強者も

  2. 2

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  3. 3

    ドジャース大谷の3年連続本塁打王に超強力ライバル…ベテラン2人が「新規大型契約」狙い目の色変える

  4. 4

    松本潤はやっぱり“持っている男”だった! 主演の7月期TBS日曜劇場はヒットの条件が勢揃い、「どうする家康」の汚名返上へ

  5. 5

    いとうあさこ「過去の不倫」告白もダメージゼロ! 本物の“お嬢様”が持つ愛され要素

  1. 6

    阪神藤川采配の奇々怪々…「佐藤輝明を三塁に固定、ヘルナンデスを外野で使うのが普通やろ」

  2. 7

    【スクープ!】元横綱白鵬が相撲協会に「退職届」を突きつけていた! あまりの自己チューぶりに「洗脳説」まで浮上

  3. 8

    備蓄米で不当に儲けている? ネットにあふれる「コメ高騰は卸売業者が元凶」ウワサの真偽

  4. 9

    「白鵬米」プロデュースめぐる告発文書を入手!暴行に土下座強要、金銭まで要求の一部始終

  5. 10

    国民民主党ブームはジ・エンドか…玉木雄一郎代表「備蓄米は動物の餌」発言に批判殺到