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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」無理せず自分を大切にする生き方を教えてくれた

公開日: 更新日:

 先週、桜井ユキ主演「しあわせは食べて寝て待て」(NHK)が完結した。主人公は38歳で独身の麦巻さとこ(桜井)。膠原病になったことで生活が一変してしまう。仕事は週4日のパート勤めに。住居も家賃5万円の古い団地になった。

 隣の住人は美山鈴(加賀まりこ)。彼女は居候の羽白司(宮沢氷魚)と暮らしている。元々は仕方なく始めた団地生活だったが、鈴たちとの出会いと薬膳料理を知ったことで、さとこの中で何かが変わり始める。

 物語の進行とともに薬膳が身近になっていく。たとえば、杏仁豆腐の原料はあんずの種で、喉の調子を整えてくれる。お粥には胃腸を守り体力を補う効果がある。そして体の中の潤いを補ってくれるのがニンジンだ。見る側も自分で自分をいたわる養生の道を知った。

 さらに、印象に残るセリフがいくつもあった。病気を抱えた自分が許せないさとこに鈴が言う。

「これまでの自分と比べるから、しんどくなるんじゃない? こう考えたらどうかしら、新しい自分になったんだって」

 また、幸せになることについて司が言う。「一歩一歩ですよ、きっと山登りみたいなものなんです」。やがて、さとこも「未来は不安ばかりじゃない。何か自分にできることを見つけていけたら」と前を向いていった。

 このドラマが教えてくれたのは、無理せず自分を大切にする生き方だ。

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