内野聖陽「PJ~航空救難団~」は昭和文化の薫りを漂わせる自衛隊訓練生たちの物語
過去にも自衛隊を描いたドラマはあった。綾野剛が航空自衛隊の広報官に扮した「空飛ぶ広報室」(TBS系)。町田啓太が陸上自衛隊の新人を演じた「テッパチ!」(フジテレビ系)などだ。
そして今期の内野聖陽主演「PJ~航空救難団~」(テレビ朝日系)は、航空自衛隊に実在する救難活動の精鋭部隊が舞台。この部隊のメンバーとなることを目指す訓練生たちの物語である。
第一の見どころはリアルな訓練シーンだ。見ている側も息が詰まりそうな水中での救助。山では自分たちも遭難しそうな険しい崖をよじ登る。神尾楓珠や前田旺志郎たちが、文字通り体を張った演技を見せている。
そして、彼ら以上に熱いのが主任教官の宇佐美(内野)だ。「一般社会で許されなくても、ここでは俺が許す!」と豪語。コンプラ無視の過酷な訓練を課す。しかも、必死で頑張る訓練生に対して「おまえは何があっても逃げなかった。アッパレ!」と励ますことも忘れない。どこか昭和のスポ根ドラマを見るようだ。
いや、それだけではない。不屈の精神と正義感の「仮面ライダー」。根性で夢をかなえる「巨人の星」。「熱中時代」や「3年B組金八先生」の型破り教師が発していた熱量。そんな昭和文化の薫りも漂っている。
紅一点の女性訓練生(石井杏奈)は去ったが、他者の命と心を救うための訓練はまだまだ続く。