長嶋茂雄さんといえばやっぱり展覧試合。僕は自宅で正座、テレビにかじりついて見ていました
“燃える男”、“ミスター”の愛称で国民的人気を誇ったプロ野球元巨人監督の長嶋茂雄さんが6月3日、都内の病院で肺炎のために亡くなった。享年89。選手、監督として数々の伝説、逸話を残した「ミスタープロ野球」は、身近に接した者やファンすべてにそれぞれの「長嶋茂雄像」を強く印象づけてもいる。
今回は日刊ゲンダイ特別号「追悼 長嶋茂雄 50人の証言」に収録された漫画家・北見けんいち氏による回顧録を特別公開する。
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僕は王貞治さんと同い年で、亡き師匠の赤塚不二夫さんは長嶋茂雄さんと同学年。ONと同じ時代を生きてきた巨人ファンにとって、2人はヒーロー中のヒーローで、長嶋さんは別格。とにかくカッコいい。
子供のころの娯楽といえば野球かベーゴマで、草野球チームのポジションは捕手でね。当時のミットは、革が薄くて片手で捕球できないから右手を添えるの。それでも時々、球をはじいて、右手の親指や人さし指に球が当たるんだ。軟球とはいえ痛くて痛くて。