歌手・三沢あけみさん「奇跡の80歳」の現在…乳がんも肺腺がんも乗り越えて
“奇跡の80歳”の若々しさ。ヒケツは?
「どちらも早期発見で、乳がんはもう卒業(寛解)しました。肺腺がんもこの秋には卒業予定です。肺の手術をしても歌への影響はなく、体調はとてもいいのですが、もう無理はしないで、やりたいな、と思う仕事だけやっていこうと思っています」
3年前には、111枚目のシングル「与論島慕情」をリリース。歌手デビュー60周年記念曲というから長い芸歴だ。
「歌手になりたくてなったとはいえ、デビュー当初は高校に通いながらだったので、睡眠は3時間で、毎日スケジュールがぎっしり。息苦しくて楽屋の窓から脱走したり、『早く結婚しちゃいたい』と思ったり(笑)。20歳を越えてからも、私はお酒が飲めないから、地方公演に行くと、夜はひとりでルームサービスをいただくことが多かったですね。だから、日本中を回ったのに、まだ見ていないところ、経験していないことばかり。プライベートで楽しかった思い出といえば、友だちと欧州や香港でショッピングをしたことぐらい。人生の残り時間はそんなにないので、これからはもっといろいろ楽しみたいですね」
トイプードルのミッキーくんと暮らす。
「人生で一番つらかったこと? 両親をがんで亡くしたことですね。仕事が忙しく、衣装のまま病院へお見舞いに行き、亡くなった知らせを聞いてもスケジュールをこなさなければなりませんでしたから。ただ、母が亡くなる5年前に4階建ての家を建ててあげられたので、親孝行に何とか間に合ったかな、と思います」
(取材・文=中野裕子)
▽三沢あけみ(みさわ・あけみ)1945年長野県伊那市生まれ、東京育ち。14歳で第7期東映ニューフェイス合格。60年、連続テレビドラマ「笛吹童子」(NET=現テレビ朝日系)でデビュー。63年「ふられ上手にほれ上手」で歌手デビュー。「島のブルース」「アリューシャン小唄」「木曽節」などで紅白歌合戦5回出場。