若き日の黒柳徹子を描いた「トットてれび」は満島ひかりの“隠れた代表作”に
黒柳が憑依したような満島のハイテンション演技はもちろん、ドラマで蘇る今は亡きスターたちも見ものだった。森繁久弥(吉田鋼太郎)、渥美清(中村獅童)、沢村貞子(岸本加世子)らが、それぞれ“なりきり”の演技で競い合う。
中でも森繁は、22歳だった黒柳にとって「近所のちょっとエッチなおじさん」的な存在だ。接した女性全部に(もちろん黒柳にも)、「ね、一回どう?」とコナをかける様子が大いに笑えた。
注目すべきは、満島の黒柳徹子役が一般的な伝記ドラマの“似せる”演技とは大きく異なっていたことだ。声質や話し方をコピーするのではなく、黒柳の「呼吸のリズム」や「間の取り方」を体に落とし込んでいく。
さらに黒柳の“好奇心の速度”を演技の核に置き、次の瞬間に世界が変わるような目の動きを徹底して作った。視聴者は「似ている」ではなく、黒柳徹子が「そこにいる」ことを実感。こうして本作は満島の“隠れた代表作”となった。
ドラマも含めすべてが生放送だった時代。出演者も作り手たちも不慣れで、機材も乏しかった。しかし、それを補って余りある熱気とエネルギーがあった。それは今のテレビに一番欠けているものかもしれない。
制作陣はプロデューサーに訓覇圭、演出が井上剛、音楽は大友良英という「あまちゃん」チームだ。脚本は「花子とアン」の中園ミホ。黒柳徹子という放送界の“生きるレジェンド”の若き日々は、そのままテレビの青春でもあった。



















