著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

黒木華主演「重版出来!」は“お仕事ドラマ”の進化形だった

公開日: 更新日:

 ちょうど10年前の2016年。春ドラマの一本として放送されたのが、黒木華の連ドラ初主演作「重版出来!」(TBS系)だ。タイトルの読みは「じゅうはんしゅったい」。本などの出版物が増刷されることを指す。

 増刷になれば、いわばお札を印刷するようなもので、出版社が儲けるのはそこからだといわれている。また重版出来は多くの読者を獲得した証しであり、著者や版元の達成感も大きい。

 主人公はコミック誌の新米編集者・黒沢心(黒木)。柔道の日本代表候補だったというバリバリの体育会系女子だ。元気と明るさ、相手との絶妙な間合いのとり方や勝負勘も武器になっている。たとえば大御所漫画家の引退危機を持ち前の観察眼で救ったりした。

 この頃、働く女性を主人公にした作品は、一般的に“お仕事ドラマ”と呼ばれていた。始まりは1990年代の後半だ。医療現場をコミカルに描き、ヒロイン成長ドラマの原型ともいえる「ナースのお仕事」(フジテレビ系、96年)。OLの働き方を痛快に描き、女性の職場ドラマの象徴ともなった「ショムニ」(同、98年)などが人気を得た。

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