著者のコラム一覧
天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

往年のスターホースが教える「心房細胞」の怖さ

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 心房細動は不整脈のひとつで、心臓が細かく不規則に収縮を繰り返し、動悸や息切れなどの症状が出ます。人間だけでなく、馬などの脊椎動物にも見られる病気で、中央競馬では年間で平均30頭前後が心房細動を発症しています。

 馬の心臓は、心房の大きさが3歳時だと5センチほどで、馬体が大きくなると心臓も大きくなり、心房も6センチ程度になります。心房が6センチになると、「リエントリー」と呼ばれる正常の電気回路とは別の電気の旋回が生じ、ほぼ大多数が心房細動を起こします。心房細動に移行すると心拍出量が2割落ちるため、当然、運動能力は衰えます。

 オグリキャップの場合、馬体重が増えて「脈拍が速くなっていた」と調教師さんが証言しています。このころ、心房細動を起こしていた可能性があるのです。

 結局、オグリキャップはカイバや調教などによって馬体重を絞り込んだことで脈拍の速さが勝てていたころに戻り、引退レースの有馬記念を勝利することができたそうです。おそらく、馬体重を減らしたことで心房細動が改善したのでしょう。

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