番組憎み研究憎まず 「ガッテン!」炎上を正しく理解する
運動や食事制限とは関係なく、睡眠薬を飲むだけで糖尿病が治る――。こんな夢のような治療法を先月22日の放送で紹介したNHKの人気健康番組「ガッテン!」(水曜午後7時30分~)。放送直後から医療関係者を中心に批判が集中。番組HPで訂正とお詫びの文章が掲載される騒ぎになっている。
仮説にもとづく研究をあたかも確立された治療法のように紹介し、適応外処方の睡眠薬を特定の商品とわかる状態で放送したのだから非難は当然だ。しかし、だからといって今回の放送で医学的仮説自体を否定していいのだろうか。首都圏の開業医が言う。
「確かに有名公立大学の医学部教授がスタジオで一般視聴者に向けて紹介すべき内容ではないと思います。しかし、研究に値する仮説であり、研究は続けるべきではないでしょうか?」
そもそも糖尿病の悪化要因のひとつに睡眠異常があることは医師の間では広く知られた話だ。糖尿病が悪いので睡眠の質も悪くなるなら、睡眠の質を上げたら糖尿病が改善されるのではないか、との仮説を立て、その裏付けの研究をするのもまた当然だ。