著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

日本人の脳卒中 患者数は大幅減でもなぜ脳出血が多いのか

公開日: 更新日:

 脳卒中と言ってもいろいろあります。大ざっぱに分ければ、血管から出血する「脳出血」と、血管が詰まる「脳梗塞」の2つがあります。日本人の脳卒中は、ここ数十年で大幅に減少したとはいえ、いまだ脳出血が多いという特徴があります。

 欧米のデータでは、脳出血は脳卒中全体の数%という報告が大部分ですが、日本の脳卒中データバンクの報告では14%となっています。欧米では無視できるような脳出血が日本では大きな問題になるかもしれないのです。

 たとえばコレステロールをスタチンという薬で下げることにより、血管が詰まる脳梗塞は20%程度予防できることが示されています。100人の脳卒中が起きる集団に対して、コレステロールを治療したときにどういう結果になるか日本人の割合で計算してみると、86人が脳梗塞、14人が脳出血です。脳梗塞の予防効果は20%ですから、86人から70人くらいに減ることになります。

■コレステロール治療が効かない?

 それに対して脳出血は、前回紹介したように1・68倍になるという報告がありますから、14人から24人になります。脳卒中全体では100人から94人(70+24人)に減るということになります。あまり減らないという感じではないでしょうか。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」