著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

西郷輝彦さん再発 前立腺がんは治療が「5年一区切り」にならない

公開日: 更新日:

 ほかのがんに比べると穏やかながんですが、がんの“完治の目安”といわれる「5年」を越えて再発することが少なくないのも事実です。私の患者さんでは、最初の治療を終えてから10年たって再発したケースがあります。

 全国がんセンター協議会のデータによると、前立腺がんの5年生存率は100%ですが、10年生存率は94.5%。わずかな差ですが、長い経過を経ての再発の可能性が見て取れるでしょう。

 西郷さんは手術で前立腺を“全摘”されていますが、だからといって体内のがん細胞をすべて取り除いたことにはなりません。そもそもがん細胞は、診断される前も後も毎日発生しています。そういう“検査では見つけられないがん”が、免疫力の低下などで少しずつ大きくなるのが再発ということです。

 胃がん大腸がん肺がんでは、長い間隔での再発はレアケースなのですが、前立腺がんと乳がんでは決して珍しくありません。

 オーストラリアの歌手、オリビア・ニュートン・ジョン(69)も今年5月、25年前に手術した乳がんが再発したことを明らかにしたことが話題になりました。私の患者さんでも、34年後に原発部位から再発した方がいます。

 このようながんでは、5年後も定期的に検査を受けながらチェックすることが大切。前立腺がんなら、血液検査でPSAという値を調べることになります。一般にがんの治療は、5年が一区切りですが、がんの種類によっては10年以降も受診する方がいいタイプがあることは頭に入れておいてください。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広陵・中井監督が語っていた「部員は全員家族」…今となっては“ブーメラン”な指導方針と哲学の数々

  2. 2

    11歳差、バイセクシュアルを公言…二階堂ふみがカズレーザーにベタ惚れした理由

  3. 3

    中居正広氏は法廷バトルか、泣き寝入りか…「どちらも地獄」の“袋小路生活”と今後

  4. 4

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  5. 5

    二階堂ふみと電撃婚したカズレーザーの超個性派言行録…「頑張らない」をモットーに年間200冊を読破

  1. 6

    開星(島根)野々村直通監督「グラウンドで倒れたら本望?そういうのはない。子供にも失礼ですから」

  2. 7

    最速158キロ健大高崎・石垣元気を独占直撃!「最も関心があるプロ球団はどこですか?」

  3. 8

    風間俊介の“きゅるるん瞳”、庄司浩平人気もうなぎ上り!《BL苦手》も虜にするテレ東深夜ドラマの“沼り力”

  4. 9

    前代未聞! 広陵途中辞退の根底に「甲子園至上主義」…それを助長するNHK、朝日、毎日の罪

  5. 10

    山下美夢有が「素人ゴルファー」の父親の教えでメジャータイトルを取れたワケ