著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

大腸がん<7>薬物療法の延命効果「生存期間中央値」は?

公開日: 更新日:

 3次治療には、1次・2次治療で使われなかった抗がん剤や分子標的薬が推奨されています。

 1次・2次治療は主に点滴ですが、こちらは主に錠剤タイプなので、通院が少しラクになるはずです。副作用も比較的弱いといわれています。また4次・5次治療は、3次治療で推奨されている処方のなかから、使われなかったものを選びます。

 では、免疫チェックポイント阻害剤はどうでしょうか。大腸がんで使えるのはペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)という薬です。これは遺伝子検査で「高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI―High)」と診断された患者にのみ有効です。対象患者には、1次治療として通常の処方を試したあと、2次治療でペムブロリズマブを使います。奏効率は40%、がんの進行を抑える「病勢コントロール率」は70%とされています。ただし、対象患者は、全患者の2~3%に過ぎません。大半の患者には、縁のない治療です。

 我々にとって最も気になるのが、この5段構えの陣で、果たしてどれだけ延命効果があるのかという点です。その評価指標として「生存期間中央値(MST)」が使われます。

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