著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

“小太り”が健康な理由は皮下脂肪で感染症を撃退するから 科学雑誌「サイエンス」で報告

公開日: 更新日:

 皮下脂肪というと悪いイメージを持たれる方が多いと思います。しかし、皮膚の下にある脂肪組織は、体を守るために重要な働きを持っているのです。

 サイエンスという一流の科学雑誌に、2015年に興味深い研究結果が報告されて注目を集めました。皮膚が細菌による攻撃を受けると、皮下の脂肪細胞が増殖して、そこから抗菌ペプチドという細菌を撃退する作用を持つ物質が放出されることが、ネズミの実験で確認されたのです。

 つまり、脂肪細胞は天然の抗菌剤のようなものをつくっていて、免疫の最前線で重要な働きをしているのです。抗菌ペプチドは細菌ばかりではなく、ウイルスにも効果があり、新型コロナウイルス感染症の重症化予防にも有効である可能性が指摘されています。

 この抗菌ペプチドはビタミンDにより増加することも分かっていて、「ビタミンDが免疫を調整する作用を持っているのは、この抗菌ペプチドが関係している」という意見もあります。

 それでは、脂肪の多い肥満の人の方が感染に強いのでしょうか? じつはそれは逆で、肥満のある人は感染症にかかりやすく、重症化もしやすいことが知られています。脂肪組織は適度にある分には健康に良い働きがあるのですが、過剰に増えたり、たくさんの中性脂肪をため込んだような状態では、かえって体の害になってしまうのです。脂肪は適度に持っているのが健康的であるようです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  2. 2

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  3. 3

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  4. 4

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  1. 6

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  2. 7

    森田望智は苦節15年の苦労人 “ワキ毛の女王”経てブレーク…アラサーで「朝ドラ女優」抜擢のワケ

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    阪神・佐藤輝明をドジャースが「囲い込み」か…山本由伸や朗希と関係深い広告代理店の影も見え隠れ

  5. 10

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲