著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

「4」が気になる…末期がんで緩和病棟に入った男性の心境

公開日: 更新日:

 Cさん(53歳・男性)は、大腸がんと闘って3年になります。肝臓や骨盤内に転移が多数あり、今は下肢の浮腫に悩んでとうとう治療を諦め、ひとりでは暮らせないことから緩和病棟へ入院させてもらいました。

 そんなCさんの日記の一部です。

 ◇  ◇  ◇

 ただただ、もう末期。トイレが我慢できなくて、ナースコールした。

「立てる?」とナース。

 足が痛くて、立てないから呼んだのに……。お願いだから手を引っ張らないで。

 体が動かないのはつらい。昨日までは歩けていたのに、1日で動けなくなった。立てないどころか寝返りもつらい。腕から先は動くのでナースコールやスマホはできるが、この太い足はどうにもならない。こんな薄い布団すら跳ねのけられない。

 体中がだるくて、重い。それでもいろいろやってもらって、このまま死んでいくのもありかとも思ったりする。

 この緩和ケア病棟に、ナースはきっと20人はいると思う。緩和の看護を志望した人が多いのだろう。みな感じがいいし、優しい。それでも、こちらにも好き嫌いがある。マスクで顔は分かり難いが、声、仕草、すぐ好きになった人もいる。「不器用だ」と思っても、「いい人だ」と思える人もいる。好きじゃなくても「ちゃんとしている」人もいる。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  3. 3

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  4. 4

    高市政権大ピンチ! 林芳正総務相の「政治とカネ」疑惑が拡大…ナゾの「ポスター維持管理費」が新たな火種に

  5. 5

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  1. 6

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 7

    沢口靖子vs天海祐希「アラ還女優」対決…米倉涼子“失脚”でテレ朝が選ぶのは? 

  3. 8

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  4. 9

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  5. 10

    高市政権マッ青! 連立の“急所”維新「藤田ショック」は幕引き不能…橋下徹氏の“連続口撃”が追い打ち