重症型ウイルス初上陸…「第二の天然痘」エムポックスが日本で騒がれない理由
感染すると6~13日間の潜伏期間を経て、発熱、頭痛、筋肉痛、鼠径部などのリンパ節の腫れといった初期症状が現れ、その後、皮疹が顔面から四肢に広がり、水疱・膿疱・かさぶたへと進行。多くの場合は2~4週間で自然治癒するが、重症化することもある。
ウイルスには系統群(クレードⅠa,b、Ⅱa,b)があり、Ⅰは主に中央アフリカ、Ⅱは主に西アフリカで流行しており、aは人獣共通感染症、bはヒトヒト感染を指す。
これまで国内で確認されているウイルスはクレードⅡbで、クレードⅠbは初となる。エムポックスは同性間、異性間の性的接触以外にも、感染者の発疹や水疱などに触れたり、患者と近距離で長時間話すことで飛沫感染する場合がある。さらに感染者が使用したタオル、衣類、シーツなどを介して感染することがあり、アフリカでは家庭内感染が報告されている。
世界の患者数は2025年7月末までの3年7カ月間に138カ国15.8万人に上り、399人の死亡が報告されている。
日本では今年の3人を含めて254人(2022年7月25日~2025年8月24日)が報告されている。ゲノム解析された116人のうち1人以外は男性で、HIV感染による免疫不全で1人が亡くなっている。