重症型ウイルス初上陸…「第二の天然痘」エムポックスが日本で騒がれない理由
今月16日、厚労省はアフリカから帰国した20代女性が「重症型のクレードⅠb型エムポックス(旧サル痘)ウイルス」に感染していたと発表した。国内初確認のクレードⅠbは、ヒトの免疫を回避する能力が高く、感染拡大しやすいことがわかっている。致死率も高く、アフリカでは最大11%と言われている。ところが、専門家は「国内感染が大きく拡大する可能性は低い」としている。なぜか? 感染症に詳しい、プライベートケアクリニック東京新宿院の尾上泰彦院長に話を聞いた。
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「エムポックスは、モンキーポックスウイルス(別名エムポックスウイルス、MPXV)感染による急性発疹性疾患です。もとはアフリカ中央部から西部にかけての風土病であり、欧米でもこの地域への渡航者などで感染事例が時折報告されていましたが、2022年5月以降に主に男性間での性的接触を行う男性(MSM)を中心に国際的な流行が発生。その後世界保健機関(WHO)が2回にわたり緊急事態宣言した病気です」
エムポックスウイルスは天然痘と同じオルソポックスウイルス属で、重症化するタイプがあり、天然痘に使われていたワクチンが、エムポックスにも予防効果があることなどから「第二の天然痘」と呼ぶ向きもある。