寝たきりになった男性はどのように人間力を回復したのか(3)
「口から食べられるようにしてほしい」と、チューブを外してもらえるように希望しましたが、やはり「誤嚥性肺炎の危険がある」と取り合ってもらえません。さらには「このまま胃ろうになるかもしれません」と言うのです。
寝たきりのまま2カ月がたち、夫はガリガリにやせてしまいました。それでも医師から「このまま衰弱していくのを受け入れるしかない」と告げられました。そのとき、かつてお世話になった酒向先生に再びお願いしてみようと決心しました。前回の入院から10年ほどたっていますが、酒向先生に連絡を入れて相談すると、また診てもらえることになり、ねりま健育会病院に転院となりました。
今回も入院当日に経鼻経管栄養のチューブを外し、ゼリー状の飲食物をのみ込む練習を開始してくれます。回復の度合いに合わせ、当初は食事ごとにチューブを挿入し、経管栄養後にチューブを外すので、チューブがない時間帯にのみ込む練習が行われました。複数のスタッフがついて、手間を惜しまずに毎食必ず経鼻経管栄養チューブを抜き差しして、1日2回ほどのみ込む練習を繰り返してくれたのです。


















