著者のコラム一覧
酒向正春ねりま健育会病院院長

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

寝たきりになった男性はどのように人間力を回復したのか(2)

公開日: 更新日:

 前回紹介したある患者さんの奥さまの経験談の続きです。

  ◇  ◇  ◇

「もう、これ以上はよくならない。あきらめてください」

 くも膜下出血で一命を取りとめた後、寝たきりになって医師からそう告げられた当時61歳の夫が、酒向正春先生が院長代理をされていたリハビリ病院に転院したのは、手術から7カ月がたった頃でした。

 私は「口から食べることができるようになって、リハビリに取り組めば、また会話ができたり、動けるようになるはず」と強く思っていたため、それまで入院していたリハビリ病院で気管切開と経鼻経管栄養のチューブを外して口から食事をとれるようにしてほしいとお願いしました。しかし、「誤嚥肺炎を起こす危険があるから」と、希望は受け入れてもらえませんでした。

 しかし、酒向先生は、転院したその日に経鼻経管栄養のチューブを外し、自力でのみ込めるかどうかの検査を行ってから、「自分で食べられるようになる」と判断し、ゼリー状の飲食物をのみ込む練習を開始してくれたのです。やっと希望の光が見えてきた……涙が出ました。

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