寝たきりになった男性はどのように人間力を回復したのか(2)
前回紹介したある患者さんの奥さまの経験談の続きです。
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「もう、これ以上はよくならない。あきらめてください」
くも膜下出血で一命を取りとめた後、寝たきりになって医師からそう告げられた当時61歳の夫が、酒向正春先生が院長代理をされていたリハビリ病院に転院したのは、手術から7カ月がたった頃でした。
私は「口から食べることができるようになって、リハビリに取り組めば、また会話ができたり、動けるようになるはず」と強く思っていたため、それまで入院していたリハビリ病院で気管切開と経鼻経管栄養のチューブを外して口から食事をとれるようにしてほしいとお願いしました。しかし、「誤嚥性肺炎を起こす危険があるから」と、希望は受け入れてもらえませんでした。
しかし、酒向先生は、転院したその日に経鼻経管栄養のチューブを外し、自力でのみ込めるかどうかの検査を行ってから、「自分で食べられるようになる」と判断し、ゼリー状の飲食物をのみ込む練習を開始してくれたのです。やっと希望の光が見えてきた……涙が出ました。


















