孫正義氏出資 中国「配車アプリ」上陸でタクシー業界恐々
■孫氏の本当の目的は?
目下、日本ではITを活用したシェアエコノミーをめぐって米中がつばぜり合いを展開しているが、米ウーバーの好敵手が中国の滴滴だ。その滴滴に50億ドルを出資するのがソフトバンク(SB)。陰で糸を引いているのは実は孫正義社長なのか。
車両台数24万台超の日本の市場は垂ぜんの的。「孫氏が算段しているのは日本のタクシーシステムの乗っ取りでは」(別のタクシー会社の社員)と青ざめる。日本のタクシー業界を攻略すれば、SBはタブレットを搭載させ、パケット契約で利益を上げ、データ解析でも儲けることができる。
だが、それも本当の目的ではない。今夏、SBグループはグレイロック・パートナーズとともに米パロアルトの「ナウト」に約1・6億ドルを出資した。米シリコンバレーの「ズークス」に30億ドルを出資したとの報道もある。いずれも自動運転のスタートアップ企業だ。SB広報は「いろんな可能性をみている」とするが、孫氏の投資は「アプリを使った自動運転タクシー」の普及を視野に入れている可能性も。仮に滴滴との連携話が前進すれば、雇用維持どころではなく、既存のタクシー業界が消えてしまう恐れもある。
(ジャーナリスト・姫田小夏)